ハゲと日サロ。

男の色気

No. 871(2018.06.01発行)
CAMPとHIKE 頼れる道具

 最近、俺の後輩が会うたびに黒くなっていくので何事かと尋ねると、どうやら日焼けサロンに通っているらしい。彼いわく、肌を焼くことで不思議と男としての自信がみなぎってくるし、元気になるのだという。いつに始まったか、色白でちょっと頼りない男が良しとされる雰囲気が世の女性たちに蔓延し、ちょっとシャツのボタンを2つ外そうもんなら「なんかギラついてない?」なんて言われる始末。それは好き好きで結構だが、得てして自信に満ちた男というのは、人様に対しても親切にできるものである。やはり男として人間として、自信を持つに越したことはない。そういえば俺が憧れるレジェンドの一人であり先日亡くなった元プロ野球選手の衣笠祥雄さんは日サロに行っていたかはさておき、いつも黒々として、おまけに立派なハゲでいらっしゃった。プロ野球ファンであれば誰もが知る"鉄人"は引退後もファンサービスを怠らず、たとえ死球を受けても決して投手を責めたりせず、「大丈夫」と笑って相手を庇った。仕事で一緒になるスタッフにも気丈に接したと聞く。俺はあの屈託のない黒々とした笑顔に溢れ出る男の自信、これ即ち「男の色気」を感じずにはいられないのである。ハゲに日サロ、案外アリかもしれない。暑い夏はもうすぐだしね。

矢口憲一
やぐち・けんいち/1975年生まれの42歳。ヘア&メイク兼ハゲ探求家元。2015年に帽子を脱ぎ捨てる。弊誌やPOPEYEなどで活躍中。美容室始まりました。

text/
矢口憲一
edit/
Asuka Ochi
illustration/
Aiko Fukuda

本記事は雑誌BRUTUS871号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は871号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.871
CAMPとHIKE 頼れる道具(2018.06.01発行)

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