エンターテインメント

骨の南

菅原 敏「詩人と暮らし」

No. 871(2018.06.01発行)
CAMPとHIKE 頼れる道具

骨の南

針を千本飲まされて
とどめの膝蹴りを食らったあと
よろよろと水を求めてさすらい
砂をすくって飲み干せば
マンモスの骨が
ごろりと一本転がっている
その上に腰を下ろして
400万年前の情景をなぞる
どのようにして力尽き
滅びていったのか
数えきれない
星のつぶてを浴びながら
今もう一度
その体を揺り起こし
その背にまたがって歩く
のしのしのしと
嘘も本当も踏み蹴散らして
のしのしのしと
浜辺に残す大きな足跡

memo】いにしえの人々は巨大なマンモスの化石が何の骨か分からず、巨人や怪物の骨として寺院に納めたそうな。誰もいない海、流れ着いた大きな流木に腰掛ければ、波間からその呼び声が聞こえてくるかもしれないね。夏はどこかと、奄美大島に来ています。(敏)

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すがわら・びん/詩人。新詩集『かのひと 超訳 世界恋愛詩集』(東京新聞)発売中。国内外での朗読公演など幅広く活動中。

edit/
西野入智紗

本記事は雑誌BRUTUS871号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は871号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.871
CAMPとHIKE 頼れる道具(2018.06.01発行)

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