有名店で鍛えた確かな腕に、自分の色を重ねる中国料理。
修業の階梯を上り切りいよいよ自分の城を構えた、という注目の2店が揃い踏み。伝統をベースにオリジナリティを加えた料理で知られる〈Wakiya一笑美茶樓〉出身と、フカヒレ専門を謳い都内に4店舗を構える〈筑紫樓〉出身。サラブレッドが作り出す味わいを。
赤坂 華悦樓
●赤坂
上質なコラーゲンを存分に、のフカヒレ中国料理。
フカヒレといえば、な中国料理店〈筑紫樓〉に9年間勤務。うち6年間は丸の内店の料理長を務めた腕を持つ、オーナーシェフの服部憲作さん。とくれば、自ずとフカヒレ料理を期待されてしまうわけで。違うスタイルに挑戦することも考えたというが、要望に応えるべく、王道の上海と広東料理で行くことに。
気仙沼のフカヒレ業者との信頼関係をしっかりと築いているだけに、上質なモウカザメ、ヨシキリザメ、アオザメの仕入れはおまかせあれ。調理法や予算に応じて最適なものを使い分け、丁寧に下処理をする。「個性的な中国料理が増えた今だからこそ、アレンジを施さず、どなたでも食べやすいスタンダードな料理を心がけています」
焼津出身で魚に親しみがあることもあり、フカヒレと並んで新鮮な海鮮料理にも力を入れる。自信を持って出せる確かなものを使っているからこそ、こちらもなるべくシンプルに。高級店で鍛えた腕で、的確に仕上げる。
O2
●清澄白河
スマートカジュアルな“町の中華”。
大津光太郎さんだから、屋号は〈O2〉。地元である清澄白河の路面店は、カフェか家具店かといった趣だ。チャイニーズっぽくない空間を目指したそうで、吹き抜けの天井から下がるオブジェや、点在する『スター・ウォーズ』のグラフィックやフィギュアがポップな雰囲気を醸す。
調理師学校を卒業後、大御所・脇屋友詞シェフのもとで15年間みっちりと修業を積んだ。
「本来中国の食材でないものでも、脇屋さんが使うときちんと中国料理になる。素材へのアプローチが本当に素晴らしいと思います」。ホワイトアスパラガスの料理は、師匠の姿勢を自分なりに咀嚼し、表現した一皿だ。
スパイスを多用するなど、より自由な料理をカウンター主体で提供する形にしたのは、白金〈私厨房 勇〉の原勇太シェフの影響が。「原さんに出会って、半年働かせてもらったからこそ」 名店仕込みの確かな料理を、気軽なスタイルで。ホームタウンに早くも馴染んでいる。
- photo/
- Yoichiro Kikuchi
- text/
- 小石原はるか
本記事は雑誌BRUTUS869号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は869号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。