アート

Cheaper by Dozen|ブライアン・トッレ

チンキビジュツ〜世にもおかしなアートの世界〜

No. 869(2018.05.01発行)
居住空間学2018 歴史をつなげる部屋。
© Brian Tolle Studio, Photo by Nicoleta Comen

 いかにも米国の郊外にありそうな家屋。シリコンで作られたこの家は、奇妙にもグニャグニャしていて、中からは幾体もの子供の脚が飛び出しています。この作品を手がけたのは、ニューヨークを拠点に活動するブライアン・トッレ(1964−)。実はこの作品のアイデアとなっているのは、「レヴィットタウン」という、第二次世界大戦後、退役軍人とその家族のために開発されたニューヨーク郊外にある住宅地。大量の住宅をスピーディに建設するため工場で組み立てたパーツを現場へ運び、素人同然の人員でも簡単に組み立て可能な家が次々に完成したんだとか。ちなみに住戸は非常な人気で、販売から3時間で1,400軒が完売。こうして“インスタント”に出来上がった町を、この作品は見事に表しているのではないでしょうか。家の中に頭を突っ込んで持ち運ぶ子供たちが、何やら大人をおちょくりながらヒソヒソ話でもしているところを想像して、大人は「家とは、家族とは、暮らしとは?」と、少し考えてみることになりそうです。

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中村志保

本記事は雑誌BRUTUS869号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は869号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.869
居住空間学2018 歴史をつなげる部屋。(2018.05.01発行)

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