ハゲと大統領。

男の色気

No. 869(2018.05.01発行)
居住空間学2018 歴史をつなげる部屋。

 サロンのオープンに伴い、神保町をフラフラする時間が増えた。ご存じの通りそこかしこに書店が軒を連ねるこの街にいると、そこまで読書家でない俺でもなんとなく入ってみてはお気に入りをディグってみたりする。小説、エッセイ、自己啓発本にビジネス書。長時間活字に囲まれていると、何だかフラフラしてくる。そんな折、鮮烈に目に飛び込んできたのは随分とエラそうに積み重ねられたマイケル・ウォルフ著の『炎と怒り―トランプ政権の内幕』である。巷で話題沸騰中のトランプ大統領の暴露本だが、そんなことより俺は、あのヘアスタイルが気になって仕方がない。過去に何度もハゲてないパフォーマンスが行われているのだから、俺だけでなく世界中が当たり前に気になっているのだろう。世界最大のプロレス団体WWEのオーナー、ビンス・マクマホンと代理レスラーを立てて衝突したのは最高だ。敗者は即ツルッパゲにするという、なんともバカらしい企画だったが、トランプはこれに勝利し、興行も大成功した。トランプがマクマホンの頭にバリカンを入れた際、日本語で「サヨナラ! ヘアー!」と高笑いしながら叫んだのがなんとも印象深い。俺もマネしてみたくなる。すでに失われたものたちへ、愛を込めて。「サヨナラ! ヘアー!」

矢口憲一
やぐち・けんいち/1975年生まれの42歳。ヘア&メイク兼ハゲ探求家元。2015年に帽子を脱ぎ捨てる。弊誌やPOPEYEなどで活躍中。美容室、準備中です。

text/
矢口憲一
edit/
Asuka Ochi
illustration/
Aiko Fukuda

本記事は雑誌BRUTUS869号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は869号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.869
居住空間学2018 歴史をつなげる部屋。(2018.05.01発行)

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