喜記/ソムタムダー

グルマン温故知新

No. 860(2017.12.01発行)
日本一の「手みやげ」はこれだ!

アジアの有名店が東京にやってきた。

東京に居ながらにして、世界各地で評判を呼んでいる有名店の味を楽しめることは、今や珍しくない。が、この秋、立て続けにタイと中国から新店が上陸。それぞれにスパイシーでインパクトのあるメニューがあるのも興味をそそる。アジアの名店、揃い踏み!

マッドクラブのチリガーリック炒め 本店同様、ベトナムから生きたまま空輸したマッドクラブを使用。この品種は、中国語で“肉蟹”とも言われるほど、身がたっぷりで食べ応えのあるのが特徴。味の決め手であるチリガーリックは、カニの油脂分でみじん切りのニンニクをじっくり揚げたものがベースで、それだけ食べてもカニの存在感が。4,800円。

アサリの豆豉ソース炒め アサリそのものの旨味に、黒大豆を発酵させた調味料「豆豉」の深みのある風味、さらに「社外秘」だという調味料が加わって、重層的な、じんわりとした味わいが楽しめる一皿。ほかにも海鮮料理は豊富。1,200円。

焼きそばチリガーリック風味 卵入りで歯切れのよい食感が特徴の極細麺を、モヤシ、ワケギと炒めて、カニと同じく特製のチリガーリックをたっぷりトッピング。シンプルだけど、いや、シンプルなだけに、箸が止まらないおいしさ。1,600円。

カニは、厨房内の水槽で生きたまま保存され、新鮮な状態で調理。

テーブル席のほか壁でぐるりと覆われた半個室状の円卓も。

喜記

銀座

船から上陸した海鮮料理が、遂に日本上陸!

〈喜記〉の歴史は、船の上で始まった。70年代香港で、ヴィクトリア・ハーバーなどに停泊していた水上生活者のための台風対策シェルター「避風塘」。そこで水上レストランを開いていたオーナーの廖傳喜さんが作る海鮮料理は、スパイシーでご飯が進んでおいしい、と評判に。やがて80年代に入ると陸に上がり、湾仔で屋台を営み始めると、たちまち香港じゅうで評判を呼び「避風塘料理」の創始者として名を馳せたのだ。
 今では香港に4店舗あるほか、中国本土にも出店するほど人気の店が、この秋中国圏外に初出店。銀座に店を構えた。看板料理である「マッドクラブのチリガーリック炒め(避風塘炒蟹)」は、本国と同じカニを使い、鮮度が落ちないよう特注の水槽で管理。厨房を任せられたスタッフも本店でみっちり研修を積み、変わらぬ味を提供する。
 丸ごと1杯のビジュアルも味もインパクト抜群なマッドクラブは、ご飯の友&酒の恋人!

タムタイ カイケム シグネチャーメニューである「ソムタム」は全8種類。その中で特に人気なのが、塩漬け卵を入れたタイプ。ソムはタイ語で「酸っぱい」、タムは「叩く」という意味で、実際「クロック」というすり鉢でライムや唐辛子などの調味料をすってから、細切りにした青パパイヤなどを入れて叩いて作る。1,180円。

ムーピン ガティソット ココナッツミルクに漬け込んだ豚の肩ロース肉を、特製のタレをつけて焼いた串は、そのままでも香ばしくお酒が進むが、タマリンドやナンプラーなどが入った甘酸っぱいつけダレ「ナムチムジェオ」もよく合う。1,250円。

カオクルックガピ こちらは厳密にはイサーン料理ではないが、おすすめの一品。「ガピ」というエビの発酵ペーストで香ばしく炒めたジャスミンライスを、ムーワーン(豚肉の甘煮)やフライドオニオン、野菜類と混ぜて食する。1,450円。

タイ人のスタッフが、バンコクの本店同様に腕を振るう。

壁の模様は、イサーンの伝統的な織物をモチーフにしている。

ソムタムダー

●代々木

タイ・イサーン地方の味をお試しあれ。

ニューヨークミシュラン1ツ星獲得のタイ料理店日本上陸」と、開店前から話題だった〈ソムタムダー 東京〉。2012年に、タイの東北部・イサーン地方出身のシェフとオーナーが「郷土の味を世界に広めたい!」とタッグを組んでバンコクに1号店をオープン。それからわずか5年でニューヨーク、ホーチミンを経て東京進出を果たした。
 お馴染みのタイ料理とは一味違う、辛味、塩味、酸味が中心のイサーン料理。店名になっている「ソムタム」は、イサーン地方の郷土料理である青パパイヤのサラダだ。食感の良いパパイヤと、唐辛子の辛味、ライムの酸味を一緒に味わえる定番。また、イサーン地方は内陸部のため、肉を使った料理が多いのも特徴だ。豚肉の串焼きや、干し肉料理、挽き肉をハーブや唐辛子などと和える「ラープ」など。これらをもち米や米麺と食べるのがイサーン流。
 世界を席捲中の、味覚と好奇心を刺激する料理をどうぞ。

photo/
Hisashi Okamoto
text/
小石原はるか

本記事は雑誌BRUTUS860号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は860号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

No.860
日本一の「手みやげ」はこれだ!(2017.12.01発行)

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