コーヒーと多彩な話題が武器。バーの町で光る店に。
バーと思って訪れるとブックカフェのような設えに面食らうが、オーナーが装丁デザイナーの河底典宏氏と聞けば納得。山谷頼子さんは、神楽坂〈夢幻〉勤務時代に河底氏に出会い、今の店を立ち上げから任された。
まだ31歳だが、修業歴は10年。その多くを神楽坂で過ごした。モルト専門店もあればカクテルのカリスマもいる町で、何をウリにするか。考えたときにコーヒーが頭に浮かんだ。昔から大のコーヒー好きで、一度はコーヒー屋を夢見たほど。これまで飲んだ中で「別格においしかった」と話す元住吉〈Mui〉の豆を仕入れ、多彩なコーヒーカクテルを提案する。アブサンとミルクを合わせた一杯は、「異端のバレエダンサー、セルゲイ・ポルーニンのイメージ」なのだとか。小原流生け花を学び、カウンターの花も自分で生ける。店名も大好きな落語の演目から。多方面に興味のアンテナを張り、掘り下げる。バーテンダーは天職かもしれない。店で落語や生け花のイベントを行うことも。バーは確実に、新しい時代を迎えているようだ。
- photo/
- Shin-ichi Yokoyama
- text/
- Kei Sasaki,Hikari Torisawa,Ai Sakamoto
本記事は雑誌BRUTUS854号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は854号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。