アート

Matching Pair(2017)|グレイソン・ペリー

チンキビジュツ〜世にもおかしなアートの世界〜

No. 852(2017.08.01発行)
とんかつ好き。
Courtesy the artist and Victoria Miro, London (photograph Robert Glowacki) © Grayson Perry

「壺」と言ったら、骨董屋の商品でしょーとか、お金持ちの家の客間に飾ってあったよーなとか、そもそも何に使うのよ? ……と、まったく身近に感じないシロモノですよね。でも、そんな“古臭い”先入観を払拭してくれるのがこのグレイソン・ペリー(1960〜)
というイギリス人のアーティスト。20
03年にイギリス現代美術の最高賞といわれるターナー賞を受賞した、国際的な評価も高い作家です。今年、彼が制作した新作は、このセラミック製の2体の壺。それぞれ高さは105㎝もあるから迫力があります。よく見ると、イギリスの大手百貨店〈John Lewis〉や、国民医療制度「NHS」のロゴ、政治家の肖像写真などが下地のようにびっしりと描き込まれています。その上には夢遊病者のように徘徊するコミック調に描かれた一般市民たち。皮肉なユーモアをはらんだ物語性のある場面です。壺という伝統的な美術品を引用しながら、“今”のストーリーが語られる。世にはびこる、一般的価値観を揺さぶる不思議な壺でございます。

アートカテゴリの記事をもっと読む

text/
中村志保

本記事は雑誌BRUTUS852号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は852号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.852
とんかつ好き。(2017.08.01発行)

関連記事