お食事処 福よしのタレカツ丼

とんかつの思い出

No. 852(2017.08.01発行)
とんかつ好き。
タレカツ丼発祥の店秘伝のたれは醤油ベースのさっぱり味。800円。

せきしろ 作家

 私が生まれ育った町の辺りには、なぜかタレカツ丼の文化があった。私は小さい頃からそのタレカツ丼に慣れ親しんでいたために、一般的な卵でとじられたタイプを食べたことがなく、上京して初めて食べたのを覚えている。
 私の祖父がこの店でよくお酒を飲んでいて、それについて行ってはこのカツ丼を食べた。塩辛さと甘さのあるタレがカツの薄めの衣の色を濃くし、その下にある白米も香ばしく色付け、それだけでもう美味い。カツの上に乗せられたグリーンピースが鮮やかで美しく、ハッとしたものだ。
 よく食べていたのはもう30年以上も前。店もカツ丼もまだあり、いまだ食べたくて仕方ない。私も歳をとり、この状態が奇跡と言っても過言ではないことを知っている。
 このカツ丼は、帰る理由となる味なのだ。

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お食事処 福よし
●北海道・訓子府

北海道は北見市の隣、訓子府町にある昭和25(1950)年創業の老舗のお食事処。ラーメン、寿司、カレー等なんでも揃う食堂で、タレカツ丼は初代店主がお客様の要望で考案した。5代目の砥石文吾さんが味を受け継いでいる。メニューのカツ丼はタレカツ丼のこと。卵でとじたものはとじカツ丼と呼ばれる。●北海道常呂郡訓子府町元町37☎0157・47・2057。11時~14時、17時~20時30分。日曜休、祝日不定休。

photo/
青木加代子、石渡朋、野川かさね、福森クニヒロ、辻博希
text/
鳥澤光、小林百合子、岡野孝次、辛島いづみ
edit/
上條桂子

本記事は雑誌BRUTUS852号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は852号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.852
とんかつ好き。(2017.08.01発行)

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