GOOD LUCK CURRY/カレー&オリエンタルバル桃の実

グルマン温故知新

No. 851(2017.07.15発行)
台湾で見る、買う、食べる、101のこと。

系列店のDNAを感じるカレーライスの新顔。

ケララ州仕込みのスパイス使いとフレンチメニューとの融合が楽しい店。魚介が主役のビストロ料理で毎夜賑わう店。いずれも個性派の人気店が、新たに開いたのは「カレーライス」屋さん。が、当然そこには、真似のできないそれぞれの創意工夫があるんです。

カリーW シュリンプカリー(左)には、〈Äta〉で仕込んだオマールエビのビスクを使用。エビの旨味たっぷりのベースにコリアンダーが香る。ビーフカリー(右)もフォン・ド・ヴォーで仕込み、フレンチの技法をさりげなく忍ばせている。なお、カリーは常時2種類が登場。1種ずつが隔週で替わる。900円。

カレーパンプレート 「出すからにはありきたりでないものを!」という掛川さんの“負けん気”から生まれた。米油で揚げた後、キビ砂糖とコリアンダーパウダーをまぶす。その香りとほの甘さが未体験の味わい! 14時以降注文可。800円。

チキンカリー 数あるレパートリーの一つ、チキンカリーは、フェンネルの爽やかな香りが後を引く。このほかにもラム、ベジタブル、ポークビンダルなどが。付け合わせはココナッツのサンボル、紫キャベツのアチャールなど。800円。

店を切り盛りする店長・菅原悠さんは、パン屋さんでの勤務経験も。

程よい抜け感のある内装は菅原さんがDIYで仕上げた。

GOOD LUCK CURRY

●恵比寿

人気フレンチによるイノベーティブなカレー

 「うちのカリーを一言で表現するなら“だし系南インド”」と語るのは、代官山のフレンチ〈Äta〉のオーナーシェフ・掛川哲司さん。ここは、〈Äta〉が新たに手がけたカレー店だ。
 フレンチビストロの流れを汲むだけに、オマールエビのビスクなどの濃厚な“だし”の旨味を活かし、スパイスを入れた後はあまり煮込まないのが特徴。「スパイスの風味が混ざり合わずフレッシュな味わいになるよう、意識的に時間を短くしています。ホールスパイスもあえて入れたままで、噛んだ瞬間香りが広がるように」。また、盛り付けの華やかさも目を惹く。
 専門店とはひと味違ったアプローチのカレーは、軽快で爽やか。そして、もう一つの名物がカレーパンだ。軟らかめに仕上げた生地で、細長い形状にルーを包んで揚げたそれは、料理としてのカレーパン、という趣。
テイクアウトも可能だけれど、ぜひイートインでアツアツの揚げたてをパクッ、と!

マトンカレー オーストラリア産の骨付きマトン肉を使用。骨は煮込んだ後に外すが、注文が入るまで肉と同じ容器に入れておき、にじみ出る旨味も余すことなくルーに溶け込ませる。スモーキーな香りのブラウンカルダモンや、シナモンに似ているがより香りの強いカシア、クローブなどもルーの中にコロリと。1,050円。

海老、ブロッコリー、クスクスのサラダ 具材を和えた香菜風味のドレッシングには、クミン、ヒングなどカレーに用いるスパイスも入って、香り豊か。750円。夜のバルメニューには、このほかにもギリシャ風サラダなど3種類のサラダがある。

牛ハチノスの八丁味噌マサラ煮込み 〈オリエンタルビストロ桃の実〉ではトマトベースで供しているハチノスの煮込みを、こちらではスパイス+八丁味噌で個性的に。コリアンダー、ターメリック、ガラムマサラ、チリなどの芳香が味噌と絡み合う。800円。

カレーに関する書籍『カレー語辞典』の監修も務めている加来さん。

店内はカウンターをメインに、反対側にはテーブル席も。

カレー&オリエンタルバル桃の実

●水道橋

インドカレーを“日本米コンシャス”に。

“桃の実”という店名に見覚えがある人もいるだろう。そう、本郷三丁目〈オリエンタルビストロ桃の実〉の兄弟店として登場したのが、こちらだ。
 キッチンで腕を振るうのは、本郷店のオープン時からオーナーシェフ・瀬島徳人さんと共に働いた加来翔太郎さん。フレンチの要素を加えたメニューが個性的な本郷に対して、こちらでは「皆さんに馴染みのある“カレーライス”を提供したい」と加来さん。それを実現すべく、インドで学んだスパイスの扱い方を踏まえたうえで、日本のお米との相性を考慮して、より旨味を強調するアレンジを施す。例えば、チキンカレーならチキンストックに昆布だしを加えたり。ちなみに、ご飯は、山形の「はえぬき」を使っている。
 昼は3種類のカレーのみ。夜はバルメニューが加わるが、ラタトゥイユ、ハチノスの煮込みなど、馴染みのある料理の中にもさりげなくスパイスが香り、料理の印象をより深めている。

photo/
Hisashi Okamoto
text/
小石原はるか

本記事は雑誌BRUTUS851号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は851号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

No.851
台湾で見る、買う、食べる、101のこと。(2017.07.15発行)

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