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大宮前体育館

飛ぶ、走る、泳ぐ

No. 850(2017.06.30発行)
建築を楽しむ教科書
地下に2.49m掘り下げて造った温水プール。手前は子供用で、子供が縁の上に登って走り回らないよう、あえて波形にしている。
建物は楕円形。屋上は緑化され、一部を庭園として開放。右手奥にプール棟が並び、2つの建物は地下で繋がる。右端のイチョウの大木は小学校の校庭にあったもの。
吹き抜けがあり、地下2階まで自然光が落ちる。
体育館。床のラインや館内サインは菊地敦己がデザイン。

地下を掘り、住宅地の風通しを良くする。

設計/青木淳建築計画事務所

区民体育館にしては、随分と小さな建築に思える。住宅地を歩いていても姿は見えず、敷地の前に来て、ようやく存在に気づくほど。青木淳が提案したのは、地上1階・地下2階のプランだ。
「もともとここは小学校で、校舎によって周囲の日当たりが悪かった。そこで、建物の高さを5mに抑え、形は死角が生まれない楕円形にして、地域の人が安心して敷地を歩けるようにしました」と青木。さらに、類似施設の視察を繰り返し、多くを学んだという。
「体育館には採光と換気のために窓を造ることが多い。でも実際は防音のため、窓は閉めたまま。自然光も競技の妨げになるのでカーテンを引いている。ならば体育館は地下でよいと判断したんです」
 立地や利用法から導いた最善解。青木はそこに、建材やグラフィックを用いた遊びや、土地の歴史を感じさせる仕掛けを作っている。例えば、敷地内のイチョウの大木は、小学校から引き継いだものだ。“わが町の体育館だ”という意識はこんなところから育まれていく。

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大宮前体育館

2014年竣工。●東京都杉並区南荻窪2−1−1☎03・3334
・4618。9時〜21時。第3火曜休(祝日の場合は翌日休)。プール1時間250円〜、体育館2時間200円〜。貸し切り利用が多いので、空き状況は事前に確認を。杉並区民以外も利用可。

青木 淳
あおき・じゅん/1956年神奈川県生まれ。東京大学大学院修士課程修了後、磯崎新アトリエ勤務。91年、独立。代表作に〈青森県立美術館〉〈ルイ・ヴィトン表参道〉など。新潟県十日町市の中心市街地活性化事業など、地域のコミュニティ作りにも取り組む。

photo/
Tetsuya Ito
text/
YukaUchida

本記事は雑誌BRUTUS850号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は850号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.850
建築を楽しむ教科書(2017.06.30発行)

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