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グルマン温故知新

No. 840(2017.02.01発行)
みんなのZEN。

デイリーに使えるオフィス街のオアシスイタリアン。

「きちんとした料理とワイン」な店が意外とない! そんなオフィス街に救世主が現れた。食材の生産者に近い店、王道クラシック路線とキャラは違えど、ともに地に足がついた料理と大人のサービスがウリのイタリアン。お一人様受け入れ態勢も万全です。

手打ち「ラヴィオーリ」 越後・山北地方の海辺で放し飼いで育てられた横斑プリマスロックの卵「渚おうはん」で生地を打つ。濃いだけでなく奥行きのある味が出て、食感も豊か。産卵期を終えて出荷される鶏も「十分いい味」と話す原シェフは、その肉をラグーにして詰め物に、骨ではだしをとり、余すところなく一皿に。1,800円。

八海山麓で育った『美雪鱒』の軽い燻製 身に凝縮感があり、スモークすることで芳しさとねっとりとした食感が生まれる「美雪鱒」の一品は、季節で仕立てを替えて通年出す予定の看板料理。写真はユリネのピクルスとアンディーブでサラダ仕立てに。1,800円。

干し柿入りバターのクレーマとアーモンドのクロッカンテ ラムで香りづけした干し柿を佐渡バターと合わせて、塩味のクロッカンテ、佐渡羽茂産あんぽ柿と牛乳だけで作るピュアな味わいのジェラートとともに。自然な甘味や雑味のないミルキーさに佐渡の風土がにじむ。1,200円。

原さん。サービスの経験もあり、ワインの造詣も深い。

厨房に面したカウンター席はカジュアルなシェフズテーブルだ。

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神保町

新潟産食材が主役の繊細な料理と自然なワイン。

 入口の脇に料理やワイン、農業などの本が並ぶ大きな本棚が。「僕らが大事に思うことを、もしご興味があれば、と。本の町ですしね(笑)」と、オーナーソムリエ村上裕一さん。生産者の仕事を食べ手に伝える。これが店の基本姿勢。でも、堅苦しさはないのでご安心を。食材の“生い立ち”も書かれたメニューはリストランテさながらだが、1皿から気ままにオーダー可能。クロスなし、木肌の質感が温かなテーブルは「普段使いを!」というフレンドリーさだ。
 シェフは麹町〈ロッシ〉などで研鑽を積んだ原耕平さん。八海山麓で育つマスはアンディーブとサラダに、日本海で揚がるブリには食用菊の酢漬けを添えてと、香りや酸が生きた料理は、村上さんが推す自然なワインとぴたり合わさる。食材の多くを村上さんの故郷・新潟から取るのは「自らの足元に根ざす」イタリアに同じ。開店は17時。早く帰ろうと定時退社した日もつい、足が向いてしまうかも。

熟成大沼牛サーロインの炭火焼き 大沼牛は北海道で肉牛として飼育されるホルスタイン。もともと濃い赤身の味を、40日間の熟成でさらに凝縮。グリル板を設えた炭焼き台でじっくり火を入れる。たっぷりかけたオリーブオイルと黒コショウが芳しく、塩が肉汁と溶け合い旨味が口いっぱいに。100g3,000円~(写真は150g)。

空豆のペーストと季節野菜 イタリア産の乾燥空豆を水で戻してゆでて、オリーブオイルと一緒に滑らかなペースト状に。温かく、ほのかな甘味に癒やされる。ビエトラ、チーマディラーパなど季節の野菜を添えて。写真は旬のホウレン草と。900円。

手長海老の香草パン粉オーブン焼き 食材は基本、肉と野菜に絞っているが、唯一の魚介料理は見た目のごちそう感も格別な一皿。オーブンでしっとり、ふっくら焼き上げている。香り、風味豊かなパン粉が手長海老のコクのある風味の引き立て役に。1,600円。

中村さん。料理は前菜からパスタ、ドルチェまですべてを1人で作る。

厨房が一段高く、すべての席から見える造りに。

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●三田

トスカーナとプーリア、現地の味で直球勝負。

 テラコッタの床に漆喰の壁、木の家具の温もり。テーブルには真っ白なクロスがぴしっと、すがすがしい。この光景にピンときたならイタリア料理ツウ⁉ 代表の倉島義和さんとシェフの中村陽一さんはともに目黒トラットリア・デッラ・ランテルナ・マジカ〉系列店の出身。現地さながらの料理と空間を標榜する古巣のスピリッツを10坪ちょいの小さな空間に凝縮した。
 2人で回す店だから料理は広げすぎず、トスカーナとプーリアに的を絞った。炭火で豪快に焼いた肉や白インゲン豆を添えたサルシッチャといったトスカーナ料理は、日本人にもすっかりお馴染み、ワインがガンガン進む味。一方、空豆のペーストをはじめとするプーリア料理は、素朴でしみじみ、滋味深い。
 大箱のダイナミズムはないが、代わりに一人客も気兼ねなくくつろげるカウンターを8席用意して毎晩24時ラストオーダー。終電までの駆け込み残業ご飯も気兼ねなくどうぞ。

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03・5244・5245
17時~23時LO(土15時~)。
ワインはボトル約200種4,800円~、グラス約15種800円~。
アラカルト約20種。コース4,800円もあり。席料200円(1人)。
カウンター5席、テーブル5卓12席。

東京都千代田区神田神保町1−36−1 
神保町ビル1F。日曜休、祝日不定休。東京メトロ・都営三田線ほか神保町駅A
5出口から徒歩5分。2016年12月1日オープン。村上さんはイタリアでサービスを学び、江戸川橋〈リストランテ ラ・バリック トウキョウ〉等を経て独立。店名は2人が敬愛するサルデーニャの造り手のワインから。土曜は子供連れもOK、17時まではカフェ利用も可。

OSTERIARADICI

03・6809・4025
17時30分~24時LO。
ワインはイタリア産のみ。ボトル約70種3,300円~、グラス600円~。
アラカルト約23種。前菜800円~。席料(パン代込み)400円(1人)。
カウンター8席、テーブル4卓12席。

東京都港区芝4−9−9 ワコー三田マンション101。日曜休。都営三田線・浅草線三田駅A6出口から徒歩5分。2016年11月21日オープン。看板の炭火焼きは常陸牛のタリアータ2,700円や仔羊背肉の炭火焼2,400円ほか。予算4,500円~おまかせコースのオーダーもできる。倉島さんは〈ランテルナ・マジカ〉で店長を務め、中村シェフは広尾〈ラ・ビスボッチャ〉などで活躍したベテラン。

photo/
Jun Kato

本記事は雑誌BRUTUS840号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は840号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

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