生活・スポーツ

ゼン・マスター。

生島淳の僕しか知らないアスリートの秘密

No. 840(2017.02.01発行)
みんなのZEN。

 NBAの「ゼン・マスター」といえば、シカゴ・ブルズの黄金時代を作ったフィル・ジャクソンだ。1990年代の日本でのNBA人気ってすごくて、フィルがトヨタのCMに出てたもんね。車の中で作戦ボードを書き込むって演出で。車の中で書くかな? とツッコミたくなったけどね。
 フィルは1945年生まれのベビー・ブーマー。大学生の時に、東洋思想に傾倒していた兄とアメリカ・ロング・ドライブの旅に出た時に、西洋と東洋の哲学の違いについて兄から学んだ。そこからは、鈴木俊隆(59年にアメリカに渡り、後にサンフランシスコ・ゼン・センターを設立した)が書いた『ZEN Mind』なんかを自分で読んで、どんどん禅の世界にのめり込んでいった。
 ゼン・マインドはフィルにぴったりだったようで、コーチングの哲学にも生かされていった。コービー・ブライアントやシャキール・オニールといった有名選手に東洋思想の本をプレゼントしていたくらいだ(選手たちが、どれほど興味を持ったかどうかはわからないけどね)。
 でも、ここ数年はゼン・マスターも本業のバスケットの方では、勤務先のニューヨーク・ニックスで苦戦を強いられている。結構、ヘッドコーチとの確執も伝えられることも多く、お願いだから「ピースフル・マインドに戻って、フィル!」と声を掛けたくなったりして。

いくしま・じゅん/スポーツジャーナリスト。近著に『エディー・ウォーズ』などがある。

illustration/
土車大八

本記事は雑誌BRUTUS840号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は840号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.840
みんなのZEN。(2017.02.01発行)

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