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“人の出逢いを大切にし、人の表現を信じる”雑誌

自分史上最高BRUTUS #5蒼井優(女優)

No. 830(2016.08.16発行)
こんにちは、星野道夫。
No.830 2016年 9/1号 『BRUTUS』 特集「こんにちは、星野道夫。」

これまで何度もBRUTUSの表紙を飾ってくれた女優の蒼井優さん。お気に入りの特集を読み返し、悩んだ末に選んだ最高の一冊は、自分の人生を支え続けてきてくれた特別な人物にフォーカスした特集でした。

人生に灯りをともしてくれた、星野道夫との出会い。

 写真家であり文筆家である星野道夫さん。アラスカの自然や人々、ご自身の暮らしについて綴った『をする木』は、私の人生に何度も灯りをくれた本です。私はこの特集の中で、星野さんの奥様の直子さんに初めてお会いして、道夫さんとの思い出の喫茶店や、事務所を案内していただきました。貴重な作品も見せていただき感激したことをよく覚えています。特集では、星野道夫さんという1人の存在に魅かれた人々が様々な角度からその出会いの喜びを伝えていらして、読んでいて嬉しくなります。とくに強く印象に残っているのは企画巻頭の「犬井けん、アラスカへ行く。」です。イラストを手がけたほしよりこさんとスタッフの方々が実際に星野さんが暮らしたアラスカのフェアバンクスをして作られたページなのですが、マンガや写真、文章、どれも楽しく素敵で、大人たちが集まってやった夏休みの自由研究的な愉快さがたまらなく好きでした。

大人になるワクワクをもらいました。

 私が初めて手にしたBRUTUSは、たしかマネージャーの家にあった「居住空間」特集だったと思います。世の中にはお洒落な部屋がこんなにあるのかと思いました。初めて自分で買ったのは「LIEE,FASHION,LIFE」だと思います。「It's Too Late」のページを何度往復して見たかわかりません。「なんだかこのページ好きだなぁ」と思う、その「なんだか」は大人の仕事の緻密さなんだと知りました。こういう仕事の仕方に面白さを見出せる大人になりたいと思ったのを覚えています。大人になるワクワクをくれた雑誌だと思います。BRUTUSを読んでいると、ふと、小学生の頃、班に分かれて学級新聞を作ったことを思い出します。もちろんレベルは全然違いますが。それぞれが好きでたまらないことを調べて、体感して、精一杯伝える。ちなみに私の班の自信作は明太子について取材した「めんたい新聞」でした。発表時に感じた、「好きな物のその先を伝えられる喜び」、緊張と誇らしさを、私はBRUTUSに重ねているんだと思います。編集作業は大変なこともたくさんあるかも知れませんが、これからもBRUTUSのページを開く度に編集部の皆さんの誇らしさと、喜びと、ユーモアが溢れてくることを願っています。人の出逢いを大切にし、人の表現を信じるBRUTUSが、私は好きです。

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あおい・ゆう/女優。1985年福岡県生まれ。1999年、ミュージカル『アニー』でデビュー。01年、『リリィ・シュシュのすべて』でスクリーンデビュー。18年、『彼女がその中を知らない鳥たち』で第41回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。出演した『スパイの妻』が2020年10月16日公開予定、『おらおらでひとりいぐも』2020年公開予定。

Text/Kobayashi Yuriko

本記事は雑誌BRUTUS830号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は830号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.830
こんにちは、星野道夫。(2016.08.16発行)

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