2016年夏の焼肉は、黒毛和牛をさらっとカジュアルに。
残暑厳しく、スタミナをつけたいこの季節。今年の春から初夏にかけて登場したこの2軒は、大阪出身のオーナーが東京に進出し、黒毛和牛をメインに扱う焼肉店。カジュアルかつスタイリッシュで、デートにも仲間との集まりにももってこい。いざ、焼かん!
SHIBUYA 8929
●渋谷
熱い焼肉愛から生まれたクールな店。
店の外観は、今ドキなコーヒーショップか常連度高めなバーかといった、かなりさっぱりとした印象。が、その正体はA5ランクの和牛が主役の焼肉店。
大阪でクラブを営むオーナー・東紘平さんは、自他共に認める焼肉好き。全国の有名店を食べ歩くうちに好きが高じて「おいしくて、だけど煙モクモクじゃなくてイケてる焼肉屋を開きたい!」と決心。知人の肉屋さんに指導を仰ぎ、仕入れからカッティングまでを集中学習。
吟味された肉を焼くのは、かっぱ橋の老舗〈釜浅商店〉製の七輪。そして、炭火で香ばしく焼いた肉を、さっぱりとしたおろしポン酢か塩昆布とともに食べると、繊細な肉の味わいが増幅する。また、「サシのある部位なら、ねぎ盛り(500円)を追加して、肉と一緒に食べるのもイケますよ」と東さん。食べ手目線の提案が、さすが。サイドメニューの野菜料理や〆の炭水化物も、ひとひねりが利いていて、食欲をそそる。
三軒茶屋 焼肉さかもと
●三軒茶屋
牛肉の本場からベテランが進出。
肉ブームの影響で今や東西の差は埋まりつつあるが、古くは、関西は牛肉、関東は豚肉文化が発達しているといわれていた。
牛肉の本場ともいえる大阪・心斎橋で焼肉店と鉄板焼き店を営む阪本貴則さんが、この6月満を持して、東京進出。
大阪で信頼関係を築いた業者から仕入れる黒毛和牛は、その多くが九州産。銘柄にはこだわらず、個体ごとのコンディションを重視する。「東京では大阪よりも赤身が好まれる点を意識して選んでいます」と阪本さん。
目利きが吟味し、確かなカッティングで仕上げる肉は、上手に焼ければ繊細な肉質と品のある旨味が際立ち、一切れごとに至福! だし醤油、おろしポン酢、自家製ダレなどの調味料とともに味わえば、さらに楽しい。
また、世田谷区の「生食用食肉取扱者等設置施設」の認可を受けていて、大阪本店の名物メニュー「塩だしユッケ」のほか、刺身も提供。生で、焼きで、上質な牛肉を味わい尽くせる。
SHIBUYA 8929
●渋谷
03・6712・6029
11時30分〜14時LO、18時〜23時LO(土・日17時〜)。
ビール390円、季節の生フルーツサワー800円、ウイスキー1,200円など。
焼肉単品1,300円〜。サイドメニュー600円〜。デザート500円など。
カウンター4席、テーブル3卓22席、個室1室(4名まで)。
●東京都渋谷区東2−20−18。月曜休。交通:JR・東京メトロ渋谷駅東口から徒歩12分。今年3月にオープン。本業はクラブオーナーの東さん。ハイパワーなダクトを設えた理由が「焼肉の後にクラブに行っても、臭いが気にならないよう」。キムチを扱わないのも同じ理由から。京都〈焼く鶏ソリレス〉のオーナーと親しく、人気の生フルーツサワーなど、アドバイスを受けたメニューもある。
三軒茶屋 焼肉さかもと
●三軒茶屋
03・6805・4231
17時〜23時30分LO。
生ビール500円、チューハイ480円、ウイスキー500円、焼酎480円〜など。
焼肉単品680円〜。ホルモン類680円〜。キムチ盛り合わせ880円など。
カウンター12席、テーブル4卓16席、個室1室(12名まで)。
●東京都世田谷区太子堂3−14−8 太子堂COMPLEX B1。火曜休(祝日の場合は翌水曜休)。要予約。交通:東急田園都市線三軒茶屋駅北口から徒歩5分。今年6月8日にオープン。単品の肉メニューは種類豊富。さっと焼いた薄切りロースに南河内産「美人たまご」をつけて食べる、焼きすき680円もおすすめだ。焼き台は昔ながらのガスロースター。強力なダクトが設置され、煙くなる心配なし。
- photo/
- 小石原はるか
- text/
- Hisashi Okamoto
本記事は雑誌BRUTUS830号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は830号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。