美術

Nature Self Portrait #4(1996)|ローラ・アギュラー

チンキビジュツ〜世にもおかしなアートの世界〜

No. 830(2016.08.16発行)
こんにちは、星野道夫。
Courtesy of the artist and Susanne Vielmetter Los Angeles Projects

 皆さん覚えていますか。遡ること2003年、曙が参戦し話題をさらった『K−1 プレミアム 2003ダイナマイト』。対戦相手ボブ・サップの一撃を食らい、轢死したヒキガエルのごとくリングに伸された姿に、ア然。……あの衝撃的瞬間を想起させる一枚の写真。1959年生まれラテン系アメリカ人写真家、ローラ・アギュラーのセルフポートレートです。彼女の巨体を写したような形の水たまりがあり、風景と人物が一体化した美しいモノクロ作品。でも果たしてこのカラダは美しい? 近年、痩せモデルを起用しない風潮なぞもあるけれど、それさえも流行の一環でしかないと思わされやしませんか。デブ専の男性陣をも唸らせる肉体、改め肉塊よ(が、残念。彼女はレズビアンです)。彼女は己の体を呈して“普通”とは何かを問い、人種や階級、ジェンダー、セクシュアリティの問題について迫ります。この際“個性”なんてものは陳腐の極み。そして、アギュラーは社会から弾かれたマイノリティの声を代弁します。「美しいってなんですか」と。

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中村志保

本記事は雑誌BRUTUS830号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は830号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.830
こんにちは、星野道夫。(2016.08.16発行)

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