Bistro ミヤマス/Sublime

グルマン温故知新

No. 817(2016.02.01発行)
漫画ブルータス

いまどきなフレンチ、オヤジの聖地・新橋に現る。

片や、デンマーク帰りのシェフが腕を振るう新・北欧料理のテイスト漂うレストラン。片や、近頃話題のシャルキュトリーが評判のビストロ。最旬のフレンチ店が、サラリーマンの街・新橋に誕生。環状2号線の完全開通に向け、新橋フレンチ、盛り上がるか⁉

シャルキュトリーの盛り合わせ 全部、自家製の8種。壮観。豚のホホ、舌、耳で作ったミュゾー(真ん中下)は、酸味があるソースで臭みも抑えられていて、意外な旨さ。さらにニンニク入りに、独特の風味がクセになる蝦夷鹿のソーセージに、パテ・ド・カンパーニュも2種。ビールもワインも、進む、進む。1,780円。ハーフ4種1,000円。

カスレ~トゥールーズ風~ シャラン産鴨のコンフィ、トゥールーズ風ソーセージ、塩豚バラ肉、白インゲン豆を煮込んだ伝統料理のカスレ。もちろん、ソーセージは、豚の肩肉と喉肉を粗挽きにして作った自家製で、シンプルさがおいしい。1,850円。

静岡県長谷川農産のブラウンマッシュルーム 肉の箸休めに欲しいサラダも手抜きなし。ヒマワリオイルを使ったビネグレットで和えてあり、クレソンのほろ苦さと、生のマッシュの食感が心地いい。980円。

多彩な料理を経験している柴崎シェフ、35歳。

山小屋をイメージした一軒家。ここは、オープンキッチンスタイルの1階。

Bistro ミヤマス

●新橋

自家製ハムに樽生クラフト、の贅沢すぎるビスト

 小体な店が軒を連ねる新橋らしい一角で、緑の外壁が異彩を放つ“らしからぬ”一軒家。ここが、開店半年で連日、客足が途絶えないビストロだ。その要因はクラフトビールと並ぶ看板、自家製のシャルキュトリー=豚肉加工品にある。
 シェフの柴崎利也さんは、渋谷にある姉妹店〈Hemel ミヤマス〉で、当時の総料理長から本場仕込みのシャルキュトリー作りをみっちり叩き込まれた。「シンプルで大胆。それまで教わってきた作り方とはまるで違った」という師の技を受け継ぎ、手間暇かかるソーセージやハム作りに魂を注ぐ。その数、なんと20種余り。どれも肉の味が真っすぐ伝わる自然な旨さで、豚の頭を丸ごと2週間、マリネ液に漬けて作る珍しいハムも。冷製のみかと思えば、炭火焼きも煮込みもあって……ビールも樽生クラフト、ワインも80種。縁あっての新橋出店だそうだが、味に一家言ある界隈のオヤジも虜になるはず!

シャラン鴨 ホウレン草 ケール ネタバレ、あしからず。最初は焼かれた鴨肉が木箱に入ってやってくる。で、目の前でもくもくスモークした後、ご覧の皿に。鴨のみならずソースもスモークしてあって、肉汁がよく回った鴨肉の旨味を引き立てる。パセリオイルもかかり、鴨と青野菜との組み合わせを。料理はすべて夜コース10,000円から。

発酵マッシュルーム 卵 スペシャリテ。発酵させて取ったマッシュルームのダシを、塩味代わりに加えたキノコのスープがピッチャーでやってくる。それを食感鮮やかな生のものにかけて楽しむ趣向。下に隠れている温泉卵を混ぜると、まろやかに。

ラムレーズン 姿は見えねど、食べれば、まさにその味! ラムレーズンのアイスにバナナのピュレが重なり、液体窒素を使ったホワイトチョコのパウダースノーが。雪景色を彩る枯れ枝は、モルトとココアパウダーで覆ったセルフィーユ。

料理が好きで好きで仕方がないという感じの加藤シェフ、33歳。

クロスなしのテーブルにオープンキッチン。カジュアルな空間。

Sublime

●新橋

新橋にニューノルディックの風が吹く⁉

 北欧帰りのシェフがいるらしい。そんな噂を耳にして向かったのは、新橋。駅前の喧騒を抜けた先に、そのレストランはある。「ふらっと入る店でもないので、物件ありきです」と話すのは、〈エディション コウジ・シモムラ〉などでサービスを務めたオーナーの山田栄一さん。シェフに迎えたのが、日本の〈タテル・ヨシノ〉、パリ〈アストランス〉を経て、デンマーク〈レストラン AOC〉などで腕を磨いた加藤順一さんだ。
日本フランス料理の基礎を、パリで火入れを、デンマークで盛り付けや演出を学びました」と、加藤シェフ。北欧伝統の発酵キノコの濃厚な旨味を、生のマッシュルームに絡めたスペシャリテ。木箱の中でスモークする演出で、テーブルを沸かせる鴨料理。そして、時にはシェフ自ら料理を運び、熱く語ってしまうカジュアルさ。北欧テイストをちらちらと覗かせつつ、でも、口にすれば、ちゃんとフレンチらしいおいしさが溢れ出る。

photo/
Naoki Tani
text/
齋藤優子

本記事は雑誌BRUTUS817号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は817号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

No.817
漫画ブルータス(2016.02.01発行)

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