ライフスタイル

素朴な日用品に宿るアフリカのイマジネーション。

愛用品と部屋。

No. 800(2015.05.01発行)
居住空間学2015
西アフリカ・モシ族の歴史・文化を対象としたフィールドワークをはじめ、長年のアフリカ研究で知られる人類学者、川田順造さんの自邸。コンクリート打ち放しの玄関ホールにはアフリカから持ち帰った楽器や面が並ぶ。床に置かれた木琴はマリ中部のもので、共鳴器にヒョウタンが使われている。
【ナイジェリアの蓋物】 蓋付きの土器は、コーラの実を入れるための日用品。「ユニークな表情と、鳥と魚が一体になったような造形が実に面白い。アフリカのイマジネーション、ここにあり」。サバンナの人たちにとってコーラの実は森林地帯からもたらされる貴重な嗜好品であり、かつては交易品としても使われていた。
【ブルキナファソの市場で使われていたスツール】 数多く所有するアフリカの椅子の中でも愛用しているものの一つが、写真右のスツール。「市場でロビ族の巨大なお尻の女性が座っているのを見て、どうしても欲しくなり譲ってもらった」という。40年以上、書斎で足置き台として使っている。一木削り出しで重量がある。左もロビ族のスツール。
【コートジボワールの木製ベッド】 開口部いっぱいに設けられた窓から海を見下ろすリビング。窓枠にはサバンナの王者「バオバブ」の実や16世紀頃のトンボ玉も飾られている。写真手前、ローテーブルのように見えるのは巨大な丸太を削り出したコートジボワールのベッド。窓台の鉱石は、妻で陶芸家の小川待子さんのコレクション。
【サバンナに自生する野草の茎で編まれた籠】 自宅で衣類籠として使っている籠は、ブルキナファソ南部、ロビ族のもの。方形で平らな底面であることが特徴の一つで、イネ科ウシクサ属の野草の茎と樹皮を使って編まれている。モシやビサ、ロビ族の籠編みは、ヒョウタンを使った民具と並び、川田さんが熱心に研究し集めたものの一つだ。
【ナイジェリアの青銅・真鍮の置物】 リビングの窓台に並ぶ青銅・真鍮のオブジェは、ミツロウで原型を象り粘土の外型を用いる「失蝋法」で作られたもの。複雑で精巧な細工が施せる鋳造方法だが、型をその都度壊すため同じものは二つとない。ワニを抱えた鳥は熱帯に生息するカラオ(犀鳥)。お守りやお面のモチーフにもよく登場する。
玄関ホール。丸い楽器はモシ族のヒョウタン太鼓「ベンドレ」。正面の絵はベナンの現代美術家、シプリアン・トクダバに特注して描いてもらった水の神様。
リビングの一角。椅子は写真右手のアームチェア以外すべてアフリカのもので、左端、背もたれ付きの4本脚はコートジボワール中部に暮らすバウレ族のもの。

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川田順造

人類学者

神奈川県湯河原町

1934年東京生まれ。東京大学教養学科卒業。アフリカ研究では日本人として初めてパリ第五大学で博士号を受ける。「文化の三角測量」を唱え、アフリカのほかフランスを中心にヨーロッパでも9年半の研究生活を送る。神奈川大学特別招聘教授。著書多数、近著に『〈運ぶヒト〉の人類学』など。

photo/
Taro Hirano
text/
Tami Okano

本記事は雑誌BRUTUS800号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は800号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

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