使っている時の楽しさを想像しながら、買い集めている。|森岡督行

「骨董品」との付き合い方。

No. 799(2015.04.15発行)
尊敬できる「骨董品」。
昭和初期のランプ。日本製。
本来の用途は不明。DMクリップに。
古い定規がたくさん。
文庫サイズのブックエンド。北欧製。
夏に蕎麦を食べるのにいいなと思って、骨董通りで衝動買いした伊万里焼の蕎麦猪口。藤棚の柄が珍しい。江戸期後半のもの。

昭和初期のランプ、鉄のオブジェ、古いスケール3種、北欧のブックエンド、伊万里焼の蕎麦猪口

 築80年を超えるビルに古書店を構える、森岡督行さん。目の届く範囲でと、たった100冊ほどの本を並べる空間に、愛する古道具も大切に置かれている。聞けば、古いもの好きの血は小学生の頃から流れていたという。
「叔父が譲ってくれた切手帳が面白くて、戦前の普通切手の色や柄に惹かれ、当時からお小遣いを全額投入していました」
 中学になると金貨。空き缶や古着を集めていた時期もあった。
「当時は根暗と思われるのが嫌で、友達にも親にも、言っていませんでしたけどね(笑)」
 さまざまなジャンルを通過した今は、幅広いものが好き。年代や出どころなどは気にならない。ただ持つことで気持ちが弾むようなものが欲しくなる。
「買う前に使う様子をイメージしますね。この定規で測ったら良さそうだなとか、このテーブルを囲んでみんなで何か食べたら楽しいんじゃないかとか、妄想を膨らませる。使う行為自体が楽しみになるのが、古いものの決定的な魅力だと思います」
 ギャラリーで展示間隔を測るのに使っている木製のスケール、展覧会のDMを挟んだ鉄のオブジェ、読みかけの文庫を置いておく小さなブックエンド。どの品からも、使っている時のワクワク感が伝わってくるようだ。

森岡督行
もりおか・よしゆき/茅場町〈森岡書店〉店主。5月5日、一冊だけの本を売る銀座店をオープン。

photo/
Takeshi Abe
text/
Asuka Ochi

本記事は雑誌BRUTUS799号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は799号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

No.799
尊敬できる「骨董品」。(2015.04.15発行)

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