音楽・ラジオ

ロックンロールは決して死なない、そして変わらない

BRUTUSCOPE

No. 795(2015.02.16発行)
次は誰? 明日を切り開く人物カタログ。
宮藤官九郎(左)、鈴木圭介(右)

25周年を迎えたフラワーカンパニーズの魅力を、宮藤官九郎が解く。

数々の荒波を乗り越え、今年結成から25周年を迎えるフラワーカンパニーズ。ある時は、メジャーレーベルを離れ自主レーベルから作品を発表。また、現在でも機材用のバンにメンバーも乗り込み、年間100本近いライブを実践するなど、さまざまな苦節を迎えてもなお、ロックンロールな姿勢を貫き続ける。そんなバンドを聴き続けているのが宮藤官九郎。フロントマンの鈴木圭介と、これまでの道のりを振り返ってもらった。

宮藤官九郎 
フラカン意識的に聴くようになったのは、遠藤賢司さんのトリビュート『プログレマン』(1996年)に参加されて「東京ワッショイ」をカバーした時からです。
鈴木圭介 
もう20年近く前ですね。
宮藤 
それから、みうらじゅんさんの漫画『アイデン&ティティ』の映画化(2003年)で、脚本を担当した時。監督の田口トモロヲさんが、主人公である不遇で不器用なバンドマンたちの説明をする時、何度かフラカンの名前を出していて。

フラカンは地元の名古屋で結成した時から現在まで、不動の4人メンバーで活動を続けている。

鈴木 
ギターの竹安(堅一)以外、全員同じ中学の同級生なんですよ。
宮藤 
下手に解散すると、地元で会う時に気まずいですね。

1歳違いの2人だけに、遡るうち会話は1980年代の音楽話へ。そこから意外なフラカンの原点が。

鈴木 
中学時代、ヘビーメタル全盛期で、コピーバンドをやってました。
宮藤 
僕の周りにもラウドネスのコピーバンドが多く、“○○中の高崎晃”というギタリストがいた(笑)。そういう時代でしたね。でも、フラカンの音楽とは随分違いますね。
鈴木 
今のメンバーとバンドを組んだのはちょうど20歳の時。オレはスターリンとかパンクが大好きだったけど、ギターの竹安はエリック・クラプトン命、ベースのグレート(マエカワ)はラッパズボンを穿いてレナード・スキナード聴いてて(笑)。共通点がないから妥協点を探してたら、当時人気だったロカビリーのストレイ・キャッツに行き着いたの。
宮藤 
間を取るには、最良な選択肢ですね。
鈴木 
おのおの好みは出るけど、嗜好がバラバラの4人が同じところを目指しているうちに、自分たちの音楽ができていった感じかな。

痛快なロックンロール・サウンドながら、独特の切なさを併せ持ったフラカンの楽曲。その制作方法に、長年興味があったという。

宮藤 
ハードな曲でも、歌詞にフォークのような哀愁を感じます。どうやって作るんですか?
鈴木 
最初は弾き語りで作る。昔はメンバーと共作することもあったけど、今は僕がメロディと歌詞を一緒に渡すことが多い。そうすると“せっかく歌詞も作ったんだから”と却下されにくい(笑)。
宮藤 
わかります グループ魂の曲はほとんど歌詞が先なんですけど、いいメロディが付かないことがよくあるんです。その場合はいったん寝かせ、時間が経ってから、あたかも“新しく作ってきた”という表情でメンバーに渡すんです。
鈴木 
逆に、スタジオへ行く途中の5分で作った曲でも、少しもったいつけるくらいの顔で出すと、みんなのリアクションが違ってくるよね。

結成25周年のバンドは今後どのような方向へ進んでいくのだろうか。

宮藤 
新作も聴かせていただきましたけど、全然変わりませんね。そろそろ座って聴けるようなバラードを歌ってもおかしくない年齢なのに。
鈴木 
できないんだよね。代わりに、ライブの本数は減らしましたけど。
宮藤 
でも、90本以上ありますよね。僕なら同じメンバーでずっと一緒にいるなんて考えられないな。正直、しんどくないですか?
鈴木 
でも、それ以外の日なんて、昼まで寝て、ワイドショー観て、ファミレス行ってドリンクバーを飲んでいるような生活だよ(笑)。“こんな人間が現状に文句を言ったら、最後だぞ”という気持ちがある。そういう後ろめたい気持ちがあるから、バンド活動が辛かろうが、売れなかろうが、幸せなんじゃないかなと思って、がんばるしかないんです。

『Stayin' Alive』
バンド結成25年、通算15枚目となるオリジナルアルバム。「short hopes」(常田真太郎との共同制作)、斉藤和義が参加した「この世は好物だらけだぜ」ほか、ボーナストラックを含め全11曲。SONY MUSIC/3,200円(CDDVD 初回限定盤)。

鈴木圭介

すずき・けいすけ/1969年愛知県生まれ。フラワーカンパニーズのボーカリスト。ほとんどの楽曲を手がける。アルバムの発売を記念したツアーが3月1日、札幌PENNY LANE 24を皮切りにスタート。

宮藤官九郎

くどう・かんくろう/1970年宮城県生まれ。脚本家、監督、俳優。91年より大人計画に参加。今年20周年の節目を迎えるパンク・コントバンド〈グループ魂〉のギタリスト"暴動"としても活動中。

photo/
Tomoyo Yamazaki
text/
Katsumi Watanabe

本記事は雑誌BRUTUS795号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は795号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.795
次は誰? 明日を切り開く人物カタログ。(2015.02.16発行)

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