ライフスタイル

変わりゆく練習風景。

生島淳の僕しか知らないアスリートの秘密

No. 794(2015.02.02発行)
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 今日は体操のお話。10年前くらいだろうか、体操の練習場を訪れると、技の連続写真が壁に貼り付けてあった。ちょっと古いところでは「月面宙返り」とか。どのように体をひねって着地しているのか、選手はその連続写真を見てイメージを作ってから練習していた。
 それが激変したのは、iPadをはじめとするタブレット端末が出てきてから。連続写真よ、さようなら。トップレベルの選手たちは、世界のありとあらゆる技をタブレットで見て、体の動きを分析するようになった。それだけではなく、昔はビデオをセットしてから練習風景を撮影していたのに、タブレットがあれば誰かに頼んで、手軽に練習の撮影をしてもらうことが可能になった。スポーツ科学の観点でも、体が記憶しているうちに修正イメージを膨らませた方がいいから、映像技術の発達が技の開発に大きく寄与したのだ。
 最近は、もっとすごいことになっている。2013年の世界選手権の床運動で金メダルを取った、「ひねり王子」(このニックネーム、定着しているのかどうか微妙な状態)こと、高校3年生の白井健三は、自宅にある練習場(お父さんとお母さんが体操教室を経営)で技の練習をしている風景をInstagramで撮影し、それを投稿しているのだ。開発や、練習は極秘とされた時代が懐かしい。いやはや、時代は変わったのであります。

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いくしま・じゅん/スポーツジャーナリスト。著書に『箱根駅伝コトバ学』など多数。

illustration/
土車大八

本記事は雑誌BRUTUS794号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は794号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

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