「もーたーぼーと君、インザ住宅地です」

戌井昭人『沓が行く。』

No. 794(2015.02.02発行)
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 このまま行けば、そこの家、漏れる光の台所、なんにもならねえおれの勘所、今日の晩飯なんだろな、漂う換気のニオイを辿って、鼻の穴ふくらませ、吸い込むぜ、そのニオイ、働かせるぜおれの五感、いらねえぜ第六感、リアルに知りたい晩飯のこと、でも、やっぱり、わからねえ、換気扇から漏れる、家族の歓喜の声に、その家族の幸せ知りました。きっとステーキかなんかだろう。おれも、家族の元へ戻りたい。

いぬい・あきと/〈鉄割アルバトロスケット〉主宰。小説に『どろにやいと』(講談社)、『すっぽん心中』(新潮社)など。第40回川端康成賞受賞。

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