書籍・読書

女豹黒豹、桃色遊戯、戦後のお色気に発情。

滝本誠のCAFÉ NOIR

No. 793(2015.01.13発行)
夢の値段2015

 天候の様子をうかがいながら、きょうは遠出のこのルートかな、いや、近隣をジグゾー迷路かな、とか、ジャックのタチ・ポーズで熟考し、いざとばかりにトボトボ歩みはじめるのが日課ですが、古本屋さんルートというのも当然あって、時々、店頭で思いがけない、みたこともない古雑誌に適正価格? で遭遇し、狂喜することになるわけです。
 今回は2000円で購入した1冊を紹介してみましょう。雑誌タイトル『女豹』、昭和23年に刊行が始まったお色気系読物雑誌で、創刊2号目のようです。タイトルだけで、アレハンドロ・ホドロフスキーのタロット占いによって〈18歳〉と折り紙がつけられた我が下半身が一挙に充実しましたが、表紙の絵がさらに煽り立てます、勃たせます。遠目に、おお乳首が これが敗戦後の解放感というものか、と感嘆してにじり寄ったものですが、さすがに進駐軍のおとがめに気を使ったか、申しわけ程度の白ブラに描かれた赤のハート・マークでありました。腰まわり、脚を覆うのが、これまた発売当時には鮮やかな桃色であったと思われる色彩のドレスなのです。そういえば、桃色遊戯とか、エロな意味あいの〈桃色〉という言葉も、味のない〈ピンク〉に置きかえられ、居場所をなくしてしまったようで残念ですね。そして、半洋風の表情でしなを作る女性の側で、からだをひねってうずくまっているのが、黒豹です。
表紙をおそるおそる(すぐバラバラになりそうなのです)めくると、そこには「毛と人生」というコラム、目次口絵として、サンダル履きで股の間でバスケット・ボールと戯れる水(下)着女性があらわれます。期待通りの展開ではありませぬか。
 巻頭に田村泰次郎(代表作『肉体の門』)の「東京は雨」です。しかし、なによりの表現は、裏表紙、『好色五人女』のひらがなエロ惹句につきます。「せつなく、あまく、こころにうづく、おとなだけにわかる、れんあいしんりのスリルをもつた、春宵一刻、あたいせんきんの大映映畫」

たきもと・まこと/パトリス・ルコント監督の映画『暮れ逢い』の、劇場用パンフレットに寄稿しました。

本記事は雑誌BRUTUS793号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は793号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.793
夢の値段2015(2015.01.13発行)

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