テーマ〈続・アメリカ〉

平常心ブラザーズの平常心を失くす日。

No. 793(2015.01.13発行)
夢の値段2015
やついいちろう
宮沢章夫
宮沢 やついたち、年に何回もコントのライブをやっているじゃない? グレイトフル・デッドの生き方かと思ったよ。
やつい それはいいですねえ、あの『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』読みました。僕らはグレイトフル・デッドの影響力がミニマム版のヤツ(笑)。
宮沢 録音だってなんだって自由なんだからすごいよ。ファンが勝手にステージの前にマイクを立てちゃうんだけど、グレイトフル・デッドはそれを禁止にせず、むしろステージ奥にマイクを置くための場所を作ったっていう。
やつい 優しいなあ。
宮沢 だから素人録音のブートレグがバンバン出てる。そういう売り上げを何にも気にしていないのに、アメリカで一番収入があるくらいのバンド。ライブをして、グッズを売り、いろんな町を回る。
やつい 今のシェアの考え方とまったく一緒。すごいですよね、何も考えてなかったでしょうに(笑)。僕らもコントをソフト化しても売れないと思っているので、スマホでの配信を予定してます。そうすると値段も下げられるので。かなり近いところまで来ている(笑)。カメラをみんなが置いたら、お客さんが座れなくなっちゃうから(笑)。
宮沢 日本のレコード会社も再編成で大手は3社だけしかない。作り手の考え方も変わるよね。
やつい アメリカヒップホップのアーティストは、毎日フリーの曲をネットに上げてますね。毎日、新曲がドロップされるから、あれじゃ買わねーなと。
宮沢 この間スチャダラのBose君と観た演劇は著作権調べられたらまったく上演できないありものしか使ってない(笑)。
やつい ある種のヒップホップ
宮沢 サンプリングして、どんどん出してて面白かったんだけど、Bose君が言うには、昔のヒップホップのミュージシャンは金を持っていた。だから権利を買って遊びで作っていたと。でも今の若いラッパーは本当に金がないから、オリジナルを作るしかないって。
やつい 今のヒップホップのアーティストは自分の名前を企業に売ったり、プロデューサーになったり。音楽でも、良いアイデアを売るっていう雰囲気がしますよね。
宮沢 その、最も素朴なカタチがグレイトフル・デッドだったのかもしれない。(続く)

やついいちろう/エレ片コントライブ『コントの人9人』が2月4日からスタート。

宮沢章夫/遊園地再生事業団主宰。近著に『NHKニッポン戦後サブカルチャー史』がある。

photo/
森本菜穂子
text/
村岡俊也

本記事は雑誌BRUTUS793号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は793号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.793
夢の値段2015(2015.01.13発行)

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