人生

田舎に引っ込みたくない!

箭内道彦、エリイ、大根 仁「おなやみ相談室」

No. 793(2015.01.13発行)
夢の値段2015

夫がリストラされて半年。新しい職が決まらず、私の収入だけで2人の子を育てるのも厳しく悩んでいたところ、田舎で自給自足の生活をしようと夫が言いだしました。田舎は絶対無理! なのに、夫も頑固で譲らず。貯金も底をついてきて辛いです。自分も価値観は譲れません。離婚の2文字が頭をよぎり悩んでいます。(販売員/35歳/女)

箭内
昔、資金繰りに困った僕の父親がいよいよ今日、原チャリで銀行強盗を決行するんじゃないかと家族が本気で心配した朝を思い出しました。旦那さん、相当追い詰められていると思われます。でも、食事の好みや体の相性以上に、価値観の違いは苦しいですよね。田舎も甘くない。離婚の2文字があなたの頭をよぎって悩んでいることを旦那さんに伝え、2人の選択肢として、田舎での自給自足とともに俎上に載せ話し合う時だと思います。譲れることと譲れないこと、その2つがそれぞれの自己を形成していくことは確かです。

エリイ
田舎に住んだことがないから、わかんないや。夫が家族よりも田舎を取るのは今いるところにいても、仕事もないし受け入れて貰えない感が強くなって、田舎に行けばなんとか誤魔化せるという、ちょっとした逃げ心を持っているのでは? そして田舎に行きたくないあなたは夫を「運命の人です」というほど愛しているわけでもなかったということで、ここは一つお開きにしましょう。はい、解散!!!!

大根
『北の国から』みたいですね。五郎さんも東京の暮らしに疲れて離婚し、2人の子を連れてほぼ自給自足の生活をしながら純と蛍を育てました。しかしそれは五郎さんに田舎暮らしの経験があったからできたのです。それを強いられた2人はどうなったでしょう? 凍死しかけ、母を亡くし、丸太小屋は焼失、大人になった純は女を取っ替え引っ替えしながら職を点々とし、蛍は不倫相手の子を産んで別の男と結婚したものの死別してシングルマザーに。五郎さんだけが仙人のような生活に満足しているようです。俺はドラマの大ファンですが、ふと思うのです。「純も蛍も東京に残った方が良かったんじゃね?」と。

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箭内道彦クリエイティブディレクター。最近作に、「ごはんですよ!」「シーチキン」「麺づくり」など。

エリイ/Chim↑Pomのミューズ。作品集『We Don't Know God: Chim↑Pom 2005-2019』が発売。

大根 仁/映像ディレクター。代表作に映画『モテキ』『恋の渦』。映画『バクマン。』は2015年公開予定。

illustration/
sigo_kun

本記事は雑誌BRUTUS793号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は793号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

No.793
夢の値段2015(2015.01.13発行)

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