人生

だいたいの将来が見えてしまった。

箭内道彦、エリイ、大根 仁「おなやみ相談室」

No. 791(2014.12.01発行)
なにしろ映画好きなもので。

自分で言うのもなんですが、デザイナーとしてまずまず活躍しています。ただ、似たような領域にいる先輩方を見ていると、10年後、20年後に自分がどのくらいのレベルに達し、どんな成功を収めているのかが手に取るようにわかってしまい、モチベーションが上がりません。このまま進んでいいのでしょうか?(デザイナー/29歳/男)

箭内
将来が見えてしまうというのは、ショックですよね。キャリア志向なのもわかりますが、物事を到達点やグレードで考えるのはつまらない。周りになりたい大人がいないなら、世界一のデザイナーになるって思ってみるのはどうですか? その気がないなら、もうこれで悪くない状態だと思うんで、先のことをつまらなく考えるより、一日一日面白く、今日きた仕事にドキドキしながらデザインしてほしいな。大人たちって自分の未来像だから、よくわかりますよ。めちゃくちゃだけど楽しく生きてる年上を探せればいいなと思いますね。

エリイ
10年、20年後のことを考えるなんてきっとかなりヒマで暗い人ですね。文章もなんか暗いしね。ヒマはろくなことを導きませんよ。いい大人がモチベーションくらい自分でどうにかしろっつーの。まだお母さんのおっぱい飲んでるんじゃないの? 「お母さん、僕の人生はこのままでいいのかなあ、ちゅぱちゅぱ」って愛しのママンに聞いてみな! ぎゃはははは!

大根
このテの話はよく聞きますが、そのたびに思い出すのは片岡鶴太郎さんのことです。芸人としてあんなに面白かった鶴ちゃんもある時に将来が見えてしまったんでしょうね。「たけしやさんまにはなれない」そう思った鶴ちゃんは、俳優業に専念したり、ボクシングのセコンドをやったり、絵を描き始めたり……。芸人鶴ちゃんのファンだったオレから見れば「そんなの鶴ちゃんじゃない!」だし、いい年してまだ熱々おでんにリアクションをしているダチョウ倶楽部の方がカッコ良く見えるのです(もともと熱々おでんは鶴ちゃんの持ち芸でした)。将来が見えたとしても、その先にも、その途中にもいくらでもまだ未知の領域があるのではないでしょうか?

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箭内道彦クリエイティブディレクター。広瀬すず出演のEXILE ATSUSHI「Precious LOVE」MV演出。

エリイ/Chim↑Pomのミューズ。作品集『We Don't Know God: Chim↑Pom 2005-2019』が発売。

大根 仁/映像ディレクター。代表作に映画『モテキ』『恋の渦』。映画『バクマン。』は2015年公開予定。

illustration/
sigo_kun

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No.791
なにしろ映画好きなもので。(2014.12.01発行)

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