トラットリア ダ・ディーニ/シチリア屋

グルマン温故知新

No. 789(2014.11.01発行)
男の定義

トラットリア ダ・ディーニ

白山

ベテラン復活。気軽なトラットリアで。

 白山下交差点近く、古い居酒屋や書店が立ち並ぶ商店街。どこかローカルな街並みにしっくり馴染む、なんとも控えめな雰囲気のイタリア料理店が、静かに注目を集めている。
 2009年、惜しまれつつ閉店した恵比寿〈リストランテ ダ・ディーノ〉の沼尻芳彦シェフが再始動。地域に根ざし、気軽に立ち寄れる店を、と白山の地にトラットリアを開いた。「年を重ねるごとに作りたい料理もシンプルになっている」と沼尻シェフ。精緻でありながら重心のぶれないどしっとした料理に定評があるが、複雑なソースや付け合わせを廃した料理は、素材の輪郭がいっそう際立つ。手打ちガルガネッリ ラグーボロネーゼやロニョン(仔牛の腎臓)のソテーなどの名物料理を、ワインと合わせて1皿から。構えはラフでも魚は築地から、肉は塊で炭火焼きに、と妥協なし。増えつつある地元客に紛れ、復活を待望していたイタリア料理好きが早くもリピート中だ。

豚顔肉と豚足の煮込み ソフリット(刻んだ香味野菜のオリーブオイル炒め)を使わず、表面を焼いた肉を、刻んだタマネギと一緒にゆでて作る。見た目がっつり、ボリュームも十分だが、ほろりと軟らかな肉は思いのほか軽い味わい。修業先〈ラ・ベッキア・クチーナ〉で習った店主の好物。煮汁はランチのパスタソースに。1,800円。

前菜盛り合わせ 上から時計回りに/カポナータ、ウニのブルスケッタ、マグロの顎肉とナスのミント和え、真ん中は刻んだ赤タマネギをのせたレモンのサラダ。ほかメカジキのインボルティーニなどが別皿で供される。シチリアセットより。

パスタ・コン・レ・サルデ シチリアの定番、イワシのパスタ。千葉県八街市〈エコファーム・アサノ〉の野生のフェンネル、フィノキエットを使用。華やかで清涼感のある香りが立つ。空洞のあるロングパスタ、ブカティーニで。シチリアセットより。

シチリア

白山

質実剛健。シチリア一筋直球勝負。

 38歳、ちょっぴり遅咲きな新星の登場である。店主の大下竜一シェフはイタリア修業を経て〈サローネ2007〉などの繁盛店に計7年勤めたのちに再渡伊。最も心惹かれた味と景色を求め、シチリアで1年7ヵ月修業し、帰国後に店を開いた。シチリア料理一本で勝負、だから〈シチリア屋〉(直球!)。
 ディナーはまず、店のおすすめをセットで提供する。その名も「シチリアセット」。ナスのカポナータやソラマメのズッパなど前菜7品と、イワシとフェンネルのパスタで3,000円。お腹に余裕があればアラカルトを追加する仕組みだ。ワインも全てシチリア産。手頃なものが中心で、小さなワイングラスでぐびっとやるのにちょうどいい。
 路地裏のマンションの1階、外には店名の看板のみ。木製の家具も青く塗った壁も手作り感満載で、設えにも一切気取りがない。武骨だけれど、真っすぐなエネルギーが満ちたすがすがしい一軒。応援したくなる!

活気づくイタリアン新激戦区・白山のトラットリアへ。

今年9月、東京は文京区白山に2軒のイタリア料理店が開店。シェフは片やベテラン、片や新人。どちらも20席前後の小さめな店で、1人利用OKのカウンターがある。もともとイタリアンの良店が数軒ある界隈。個性ある新店が加わり、さらに盛り上がること必至!

フランス産仔牛のロニョンのソテー ジャガイモのピューレ添え ロニョンは仔牛の腎臓のこと。ほどよい歯応えと内臓特有の深い香りが魅力だ。新鮮なものを使い強火で一気に火を入れることで、臭みはなく旨味が凝縮された焼き上がりに。軽やかなピューレにもタマネギの甘味やダシの旨味がぎゅっと詰まっている。オリーブオイルとローズマリーの香りが爽やか。1,800円。

ウサギのハム仕立て モモ肉やウデ肉、刻んだ内臓などさまざまな部位を焼き固めているから、一口で、あっさり、ねっとりと、さまざまな食感と味が口の中に広がる。濃厚ながら澄んだ味わいのウサギのジュレを添えた端正な一皿。1,300円。

鴨肉のトルテッリ ブーロ・エ・サルビア 北イタリアの詰め物パスタ。口に入れた瞬間はつるんっと心地よい舌触りが楽しく、噛めばほどよい弾力と卵のコクが感じられる。鴨独特の脂の甘さとほろ苦さがセージバターと絡み合い、ワインを呼ぶ。1,000円。

トラットリア ダ・ディーニ
白山
数人でお腹を空かせて。
セコンドの炭火焼きもぜひ。
1人でしっかり食べて、
軽く飲んで6,000円〜。
03・6801・5022

●東京都文京区白山5−2−7 フォーエムビル1F。12時〜13時LO(水〜土のみ)、17時30分〜21時30分LO。日曜休(月曜が祝日の場合は営業、翌月曜休)。交通:都営三田線白山駅から徒歩2分。エミリア・ロマーニャ州を中心に北イタリアの料理を提供。前菜は軽いつまみが600円〜、自家製サルシッチャ850円、トリッパと白インゲン豆の煮込み1,100円ほか。パスタは900円〜(手打ちは1,200円〜)。セコンドは塊肉や骨付き肉をグリルや炭火焼きで。メキシコ産牛のビステッカ2,400円。ワインはボトル約30種、グラス3種前後。手頃なものから生産本数が限られたレアものも揃う。ランチ1,500円〜。ディナーはコペルト300円。

シチリア
白山
1人ならセットでも満足、
2人ならセコンドもシェア。
1人で軽く飲んで食べて
5,000円〜。
03・5615・8713

●東京都文京区白山1−5−5。12時〜13時30分LO、18時〜22時LO。月曜休。交通:都営三田線白山駅または春日駅から徒歩7分。ディナーはシチリアセット(前菜7品、パスタ1品)3,000円をオーダーした後、アラカルトでパスタやセコンドを追加するシステム。ウニ好きのためのウニのスパゲッティ1,500円、マグロとフレッシュトマト・オリーブのブッコリ1,200円、マグロ塊肉のトマト煮1,800円ほか。ドルチェも400円〜で用意。グラスワインは、ハウスワインの赤・白各600円、泡700円。ボトルワインは3,000〜4,000円が中心。ランチ平日1,200円、土曜・日曜・祝日は「昼のシチリアセット」(前菜6品、パスタ1品)2,500円。

photo/
Naoki Tani
text/
佐々木ケイ

本記事は雑誌BRUTUS789号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は789号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.789
男の定義(2014.11.01発行)

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