猫六/猫六

グルマン温故知新

No. 787(2014.10.01発行)
世界で生き抜く50の知恵

次にくるのはインド進化形⁉ スパイスバル&ビストロ。

カレーとビリヤニがドーンと載ったこの2軒。インド料理店かと思いきや、さにあらず。専門店顔負けの〆があるバル&ビストロなのだ。クラフトビールやナチュラルワインのアテは、スパイス使いに思わず唸るポテサラにキャロットラペ。こういう店、今後増えそう。

チキンカレー 2人で訪れたら1人はコレを。ピュアなカカオパウダーに9種のスパイスが入る南インド風のチキンカレー。作りたてと寝かせたものを合わせているそうで、程よい濃度。カカオのほろ苦さが奥に潜むコクのある複雑な味わい。カカオは世田谷の名店〈ショコル〉から。ご飯、アチャール付き950円。ハーフ650円。

猫六のポテトサラダ マヨネーズを使っていないのも特徴的。赤ワインビネガーでつないだジャガイモには、煎って香りを立たせたクミン、フェンネル、カロンジが大胆に。サンドしたベーコンチップやフライドオニオンもアクセント。500円。

自家製ベーコンステーキ 豚バラ肉を塩漬けにする際、オールスパイスやブラックペッパーなどをすり込んで5日間ほど寝かせ、燻製にする。ソテーして、ピクルスをサンドしたベーコンは程よいスパイス感。タマリンドを煮詰めたソースと。850円。

猫六

●曳舟

クラフトビールで、個性派チキンカレー

 チキンカレーを食べた瞬間、ン⁉ 南インド風だけど何かが違う。カカオが効いているのだ。カレー隠し味にコーヒーやココアが入ることはあるが、それとは違う主張のある使い方。「カカオを使ったメキシコのモレソースからヒントを得たんです」
 そう語るのは、世界中のスパイス料理を参考に、自由な発想でつまみや〆のカレーを作る店主の芳谷昌宏さん。実はつい最近まで、築地でカツオ節を商っていた。が、押上の名店〈スパイスカフェ〉のオープン間もない頃からの常連で、同カフェでカツオ節とカレーコラボなどを試みたりするうち、その魅力にハマり、ついにはスパイスバルを構えてしまったという。ポテサラも、芳谷さんの手にかかれば、マスタードやクミンがガツンと効いた個性的な飲み屋の定番に。どの料理も、何が効いているのかがわかる使い方にそそられる。相方は、スパイスがその旨味を引き立てる世界各地のクラフトビールだ。

バイデラバーディラムビリヤニ インドのピラフ“プラオ”を作り、濃厚に煮詰めたカレーのラムソースと層にし、密封した鍋で炊き込んだもの。蓋を開けた瞬間、スパイスの香りがプンと。サーブもスタッフの仕事で、食べる箇所によって味が異なるのが楽しい。後でライタ(写真左の野菜のヨーグルト和え)を混ぜても。2人前2,600円。

前菜盛り合わせ 一見、いわゆるビストロと変わらない盛り合わせ。が、食べるとどこかアジア。キャロットラペにもキノコのマリネにも、小アジのエスカベッシュにも、南インドやタイでよく使われるスパイスの風味が潜んでます。900円。

サンマのコンフィ ニッポンの秋の味覚サンマを、カレーリーフ、コリアンダーシード、パプリカなどを加えたオイルで、じっくりコンフィし、南仏のタップナードソースを添えてある。穏やかなスパイスの余韻がなんともいえず。1,000円。

桃の実

●本郷三丁目

〆はビリヤニ、のインドビストロ

 店主は、インド南部ケララ州の料理にこだわる大森〈ケララの風〉出身の瀬島徳人さん。そう聞いて足を運ぶと戸惑うかも。ビストロの定番、キャロットラペがある。しかもラペといえば、のクミンはないのだが、口に運ぶと、カレーリーフが放つカレーの香りがじんわり。「自分の好きな自然派ワインに合うよう、唐辛子の辛味やスパイス感は強く出さないようにしています」と、瀬島さん。なるほど、アジアなスパイスが穏やかに香るビストロの皿の数々。料理修業のため、ケララ州に向かったものの、修業先は図らずも、現地の料理も西洋料理も出すホテルのダイニング。そこで「こういうスタイルもあり」と、インド料理があるビストロに挑戦した。
 前菜とワインだけでも使えるが、食いしん坊なら〆はビリヤニ。これと、魚のバナナの葉包み焼きは、本場仕込みの直球。ラム肉とそのソースがまだらに絡むフワフワ、パラパラのライスは食べないと後悔必至です。

猫六
●曳舟
スカイツリー帰りに、
デートで行くのもいい。
夜、飲んで食べて、
2人で6,000円前後。
03・6657・2286

●東京都墨田区東向島2−14−2。18時〜24時LO(日11時30分〜料理がなくなり次第閉店)。月曜休。交通:東武スカイツリーライン曳舟駅から徒歩1分。今年3月にオープン。カウンター主体の15席で、予約は夜18時、19時台のみ可。つまみ類は10種前後で、砂肝のマサラ炒め500円、にんじんとオレンジのサラダ350円、チキンティカ650円など。カレーはチキン、ポークが定番で、その他季節替わりのスペシャルあり。いずれもレギュラーサイズ950円、ハーフサイズ650円、2種盛りもできる。クラフトビールは、一般的なラガービールの40倍ものホップを使った「パンクIPA」をはじめ、ベルギー、ドイツのものなど10種前後で650円〜。

桃の実
●本郷三丁目
ワインもインドも、
欲張りたいときに。
がっつり飲んで食べて、
2人で10,000円前後。
03・3868・3238

●東京都文京区本郷3−30−7。17時〜22時30分LO。日曜休。交通:東京メトロ丸ノ内線本郷三丁目駅2番出口から、本郷通りを渡って徒歩3分。大江戸線本郷三丁目駅5番出口から徒歩2分。今年6月にオープン。全12席ゆえ、すぐに満席になってしまうので、予約が確実。前菜は定番12種前後のほか、季節の黒板メニューも10種ほど。ゴア風ソーセージ600円、うさぎのリエット500円、キッシュロレーヌ900円ほか。メインは、ビリヤニと魚のバナナ葉包み焼き1,800円。ナチュラルワインは、フランス、オーストリアなどを揃えていて、グラスで赤・白各3種600円〜。シードル800円。インディアペールエール、インドの青鬼700円。

photo/
Naoki Tani
text/
齋藤優子

本記事は雑誌BRUTUS787号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は787号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

No.787
世界で生き抜く50の知恵(2014.10.01発行)

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