博多 田中田 西麻布店/味のなかむら

グルマン温故知新

No. 786(2014.09.16発行)
ブルータス百貨店

西麻布に、渋谷発と博多発、高級居酒屋が揃い踏み。

今年、レストラン密集地帯である西麻布エリアに、ちょっとお高めな居酒屋が相次ぎ登場。片や予約が取れない人気店の最上級店舗。片や郷土の魚介を引っ提げ乗り込んだ博多の名店。酒場でワイワイより“和食+上質な酒”をカジュアルにって時、思い出したい2軒。

ねぎま鍋 対馬の大トロが、1切れ約100gの切り身でゴロリと鎮座。乗りに乗った脂の存在感をこれでもかと味わえるとあって、一度食べるとやみつき。リピーター続出の名物鍋だ。カツオと昆布の合わせだしに醤油で味を調えた鍋(左)で煮て、クレソンや白ネギと一緒に。写真の2人前相当で8,640円。

あらの骨蒸し 「クエ」は九州では「あら」と呼ばれる。その頭や骨付きの身(こうした部位のことも「あら」と呼ぶからややこしいが)を酒蒸しに。しっとりと蒸された骨の周りの身が旨味を湛えていて、お酒が進む一皿。6,480円。

ぜいたく丼 名前の理由は一目瞭然。ウニ、中トロ、イクラの醤油漬けが、下のご飯が見えないくらいたっぷりとのせてあり、食べる前から気分が高揚! ウニと中トロはゴマだれでどうぞ。4,644円。分量の調整も、応相談。

博多 田中田 西麻布店

●西麻布

キャッチフレーズは「博多式特上居酒屋」。

 店があるのはビルの地階。表階段を下りると、路面の一軒家のように作り込まれた外壁と長いアプローチがあり、ゆったりと贅沢な造りの隠れ家風。が、中は一転、明るく活気がある。カウンターにはピチピチの鮮魚や大皿に入った煮物などが並び、食欲をそそられる光景が広がる。
 博多の人気店〈田中田〉の東京店として6月にオープン。メニューの大半は博多の本店と同じ。玄界灘、対馬海峡、五島列島など豊かな漁場で揚がった魚は、生で、焼いて、煮て、となんでもござれ。博多名物がめ煮や水炊きはもちろん、宮崎名物チキン南蛮など、九州料理も。
 独特なのは、料理メニューに値段が入っていないこと。ちょっと怖い⁉ でも大将・田中忠明さんは「食べたらきっと納得してもらえるはず」と自信をのぞかせる。丼の量を8分の1に、魚一尾を4等分に、などのリクエストには最大限応えてくれる。上手に要望を伝えて使いこなせれば、満足度申し分なし。

武州鴨鍋 「武州鴨」とは、埼玉で飼育されている合鴨。通常の合鴨より飼育期間が長く、濃い旨味が特徴。カツオだしと鴨だしを合わせた鍋地で、野菜や豆腐と共にさっと煮て。〆には、福島・山都産のそば粉を使った自家製の十割そばを手繰ろう。1人前1,944円で2人前からオーダー可能。

刺身三種 おまかせ三皿盛 一皿ごとにあらかじめ調味料が添えてあるので、そのままパクリと。トロと赤身を盛り合わせた大間のマグロは芥子醤油で。水ダコの炙りには酢味噌と黒コショウという意外な組み合わせ。アワビは肝醤油でどうぞ。2,484円。

ずわい蟹といくらの土鍋ごはん 土鍋ごはんの具材は日によって変わる。この日はずわい蟹のほぐし身を炊き込んだ炊きたてのご飯に、プチプチのイクラをどっさりとトッピング。2合で2,700円。炊き上がりまで30分ほどかかるので早めにオーダーを。

味のなかむら ●西麻布 “〈なかむら〉兄弟”の長男が満を持して。  肩肘張らない、でも洗練された雰囲気の和食店として人気の、〈並木橋なかむら〉。今年7月、兄弟店〈味のなかむら〉が、西麻布交差点よりもちょっと広尾寄りの高台にオープン。店を手がける中村悌二さんいわく「ここは並木橋の“兄貴分”」。分店である赤坂の〈なかむら食堂〉と合わせて、〈なかむら〉3兄弟が出揃った、というわけだ。  抑えめな照明の下、年代ものの家具が並ぶ店のキーワードは「モダン民藝」。器も、素朴で親しみやすい雰囲気が特徴の砥部焼や、どっしりと丸みのあるフォルムの土鍋などを使う。  料理は、旬の食材をふんだんに取り入れ、メニューも日々アップデート。刺身や煮物といった和食“ならでは”なものはもちろんだが、懐かしさを覚えるコロッケや牛タンシチュー、一口サイズでコンビーフとキュウリ入りの焼サンドイッチ、なんていう洋モノ寄りの品もアリ。  席のタイプも様々で、相当“使える度”高めな一軒の登場だ。

博多 田中田 西麻布店
●西麻布
九州の山海の恵みを中心に
あれこれ食べたい! とき。
平均予算は1人15,000円。
あとはお腹と肝臓次第。
03・6447・0490

●東京都港区西麻布3−2−24 西麻布ヒルズB1。17時30分〜23時30分LO。不定休。交通:東京メトロ六本木駅1a出口から徒歩10分。総席数は52席。カウンター9席、テーブル14席のほか、個室が5部屋(室料は4〜5名席5,000円、6〜10名席8,000円)。サービス料10%。魚介類を中心に、食材の8割は福岡からの空輸。また、ワイン500種、日本酒20種などアルコールの品揃えも幅広く、ワインバーとして利用する人もいるそう。ちなみに奥まった住宅街にあるのに加え、看板も控えめで見落としやすいため「タクシーでお越しの際は、ナビに住所を入力してください」と田中さん。また問い合わせの電話はできれば18時までに。

味のなかむら
●西麻布
しっとりとした雰囲気に
なりたいお忍びデートに。
いろいろ食べて&飲んで、
2人で10,000円前後。
03・6434・1007

●東京都港区西麻布4−7−10 麻布笄町Aハウス。17時30分〜22時30分LO。無休(9月中は日曜休)。交通:東京メトロ広尾駅3番出口から徒歩7分。2フロアに総席数70。1階はテーブル38席とカウンターバー8席。地下にカウンター10席と個室が2部屋ある。料理はアラカルトで。日替わりのお品書きは季節の魚や野菜料理が中心。グランドメニューには月替わりの小鉢や煮物、炒め物、揚げ物、炭火焼き、鍋、季節の鍋、ご飯ものといったカテゴリー別に料理がずらりと。アルコールも同様で、ビールから清酒、焼酎、ウイスキー、ワインと死角なし。芋焼酎と温泉水を仕込んだ「やかん酒」2,160円(2合)が密かに人気上昇中。

photo/
Hisashi Okamoto
text/
小石原はるか

本記事は雑誌BRUTUS786号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は786号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

No.786
ブルータス百貨店(2014.09.16発行)

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