ライフスタイル

メジャーリーグの道具観。

生島淳の僕しか知らないアスリートの秘密

No. 784(2014.08.16発行)
松浦弥太郎の男の一流品カタログ

 トップアスリートだったら、「道具にもこだわるのが当たり前でしょ」と思われるかもしれないが、ことメジャーリーガーに関していえば、拍子抜けするほどアバウト。
 選手の分身でもあるグラブ。日本だと少年野球のうちから使いやすいように油を塗ったり、丁寧に使っていくことを教え込まれ、プロ野球選手ともなれば、職人さんに専用のグラブを作ってもらったりする。レッドソックスの上原や、レンジャーズのダルビッシュのグラブを見ると、専用の刺繍やデザインが入っていて、なんとも羨ましい。少年向けにも同じデザインのものが売ってたりしますが。
 ところが、アメリカではスプリング・トレーニングの時に、グラブを積んだメーカーのトレーラーがドーンとやってきて、そのメーカーと契約を結んでいる選手が気に入ったグラブをいくつか取っていくだけ。専用の加工なんてお願いしない。えっ、メジャーリーガーなのに、そんなんでいいの? と思ったりするのだが、そんなに思い入れがないらしい。
 一度、メジャーのダグアウトで恐ろしい光景を見た。道具を大切にすることで有名な日本メジャーリーガーのグラブがダグアウトにあり、チームのコーチがそれを座布団にして座ってしまった。そのグラブの持ち主はイチローだった……。コーチはマリナーズに長くとどまることはなかった。球場の怪談。

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いくしま・じゅん/スポーツジャーナリスト。著書に『箱根駅伝コトバ学』など多数。

illustration/
土車大八

本記事は雑誌BRUTUS784号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は784号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.784
松浦弥太郎の男の一流品カタログ(2014.08.16発行)

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