ファッション

着るほどに育む布、ホームスパンを訪ねて。

手から手へ。ホームスパンをつなぐ旅。

No. 784(2014.08.16発行)
松浦弥太郎の男の一流品カタログ
ホームスパンを織る〈蟻川工房〉にて。木製の織り機に立てた、紺色の糸一本一本が美しい。羊の原毛を染めて糸を作り、ジャケットを仕立てるための服地を織る。丹念な手仕事によるものだ。
本数と間隔を計算した後、縦糸と横糸は織り機にゆったり立てられる。その糸を手足でリズムよく織る伊藤聖子さん。方法は原始織物とほぼ変わらないそうだ。
蟻川喜久子さんは織り手の伊藤聖子さんを全面的にバックアップする。「手の仕事をする人には思想が必要だと思います。どう考えて作るのか、ここがとても重要です」
今回の取材では1日目に織り、翌日に仕上げ(縮絨)を見せていただいた。
初回の打ち合わせは1月下旬、鎌倉の〈もやい工藝〉にて代表の久野恵一さんと。
グレーか紺かに迷った末、数ある生地見本の中から「鉄紺・7番」に決めた。
作業場は蟻川さんの自宅の1階。長い年月が生んだ、風合いのある工房だ。
脂と汚れを落とした後の羊毛。今回の布は「チェビオット」というイギリスの羊毛を使っている。
天然染料と化学染料それぞれのチャートを使い色の配合について教えていただく。データは実験と確認が作り出した工房の財産だ。
45年前からのお手製マシンで糸をよる。
織り上がった布は湯の中で足踏み、糸をフェルト化させる。糸同士が定着し布になる。
工房を始めた蟻川紘直さん。
喜久子さんとホームスパンのコート。「丈夫だし着るほどに艶が出ますから、どんどん着た方がいいんです」。
たくさんの資料や見本を見せていただきながら学びの時間。今回〈もやい工藝〉の久野さんにも同行いただいた。
盛岡名物「ごま擂り団子」。とてもおいしい。

この記事は有料会員限定です。
有料会員登録(457円・税別/初月無料)していただくとすぐに楽しめます。
有料会員登録済みの方はログインしてください。

BRUTUS.jpについてはこちら

ファッションカテゴリの記事をもっと読む

蟻川工房

1965年に蟻川紘直が設立した、盛岡のホームスパン工房。紘直さんの母親・福田ハレさんは、染織家・及川全三さんの弟子であった。マフラー、ネクタイなどの小物から服地まで幅広く制作する。服地は1メートル4万円〜。蟻川工房の小物は鎌倉〈もやい工藝〉をはじめ、盛岡の光原社など数ヵ所で取り扱いあり。生地についての問い合わせ/もやい工藝☎0467・22・1822

photo/
Shota Matsumoto
text/
brutus

本記事は雑誌BRUTUS784号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は784号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.784
松浦弥太郎の男の一流品カタログ(2014.08.16発行)

関連記事