松記鶏飯/たて森

グルマン温故知新

No. 782(2014.07.15発行)
辛いから。旨いから。

和食とシンガポール料理で鶏肉を味わう。

焼いて良し、揚げて良し、生でも良し。低脂肪・高タンパクでお財布にも優しい肉といえば、そう! 鶏肉。基本的に淡泊な肉質だからこそ、何色にでも染まれる、素直でいいやつ。そんな鶏肉のさまざまな魅力を感じさせてくれる、鶏が主役の店、2軒。

海南鶏飯(ハイナンジーファン) ゆで鶏と、そのゆで汁で炊いたジャスミンライス、パクチーと3種のソース、スープのセット。ソースは醤油、ジンジャーソース、チリソースがお約束。鶏肉は、日本人に圧倒的に好まれるという理由で胸肉を使用。しっとりとした食感の秘訣は、ゆでる際の細やかな温度設定にアリ。900円(レギュラー)。

ペーパーチキン 紹興酒やオイスターソースをベースにしたたれに鶏肉を漬け込み、パラフィン紙に包んで揚げた、シンガポールの名物料理。「現地の有名店〈ヒルマン〉より、ショウガを効かせてます」と松本さん。1,080円(4ピース)。

肉骨茶(バクテー) スペアリブをニンニク、白・黒コショウと八角、玉竹などの漢方生薬と一緒に煮込んだ潮州スタイルのスープ。現地では、ガッツリ系朝ご飯メニューとして愛されている。油条(揚げパン)とともに。1,200円(2人前)。

松記鶏飯

●淡路町

神田に小さなシンガポールが出現⁉

 大学時代はバックパッカーだった、という店主の松本裕介さん。アジア各国を回った中でも、中国の五大料理と南インドマレーシア食文化がミックスしているシンガポールの食に、特にハマったのだという。
 やがて、麻布十番と恵比寿にある〈海南鶏飯食堂〉のマネージャーを経て、昨年秋に自身の店をオープン。「東京の西側ではシンガポールチキンライスがかなり浸透してきたので、今度は東側で」という思いで、場所は淡路町に。大通りから1本入った静かな一角にある店は気取らない、食堂っぽい雰囲気だ。
 看板メニューの「海南鶏飯」=シンガポールチキンライスは、海南島を改めて訪れてレシピをブラッシュアップ。中身は内緒ながら、鶏肉をゆでる汁に入れる野菜や香辛料も工夫している。
「肉骨茶」や「ペーパーチキン」、弾力のある米麺の「ラクサ」などシンガポールの代表的なメニューも揃う。うだるような夏の夜にこそ行きたい、そんな店。

土鍋の炊き込みごはん 8,856円コースの〆は、トッピング色々の炊き込みごはん。この日は新ショウガのすり下ろし入り。右上から時計回りに、鳥そぼろ、海苔、卵黄、胸肉の中落ちのゴマだれ漬け。ほか、鶏と焼きアゴのダシ汁と味噌汁、漬け物も付く。1杯目にはそぼろ、2杯目は卵で、3杯目は漬けの茶漬けと変化を楽しもう。

鳥とうにの寿司 新生〈たて森〉のスペシャリテともいえるのが、こちら。2つのコースいずれも、この寿司からスタートする。シャリを、海苔ではなく鳥のササミで軍艦巻き仕立てに。ウニとササミの相性の良さは想像以上!

炭火焼き 鳥料理店に生まれ変わっても、やはり串焼きも食べたい、という声多数。そこで、その日のおすすめの部位も3本ほど登場する。この日は鶏の手羽元と胸肉の間の部位、フリソデの塩焼き(右)と、レバーのたれ焼き(左)。

たて森

東銀座

あの焼き鳥店が鳥料理店に変貌。その理由は?

 2012年11月にオープンするやいなや、銀座エリアの人気焼き鳥店の仲間入りをした〈たて森〉。が、今年5月、突如「鳥料理店」へと業態を変更した。
 店主の建守護さん、実は日本料理店での修業が長く〈ホテル 
オークラアムステルダム〉〈カハラ マンダリン オリエンタル 
ハワイ〉(当時)などでも腕を振るった後に独立。焼き鳥店時代から「蒸しつくね」や〆のご飯類のバリエーションの豊富さなど、料理にも定評があった。それを思えば、これまでに培った技術がより発揮される鳥料理店への転身は合点がいく。
 扱う鶏肉は今まで通り北丹波の「高坂和鶏」。和食に適した、優しく食べ飽きない味になるよう、エサを工夫し、無菌環境で育てている。その鶏肉を、新たに設えたマイナス1〜3℃の氷温庫で熟成させることで、旨味と軟らかさがさらにアップ。
 鶏肉の魅力をより伝えたい、という意気込みが感じられるリニューアルだ。

松記鶏飯
●淡路町
シンガポールを旅した気分
であれこれ食べたいときに。
お腹いっぱい食べても
2人で7,000円前後。
03・5577・6883

●東京都千代田区神田司町2−15−1 パレヤソジマ102。11時30分〜13時30分LO(土・祝14時30分LO)、18時〜22時LO。日曜休(月曜が祝日の場合は日曜営業、翌月曜休)。交通:東京メトロ淡路町駅A4出口から徒歩3分。テーブル22席。2013年9月オープン。ランチタイムは海南鶏飯レギュラーが900円で、ジャスミンライスとスープがお代わり自由に。ドリンクは、シンガポールの代表的銘柄「タイガー」の生ビール740円のほか、シンガポールスリング720円や、珍しい中国酒も。ボトルワインは2,900円から。ヴァン・ナチュールや、しっかりした味を好む人用にはオーストラリアワインも揃える。

たて森
東銀座
鶏大好き! ひたすら
鶏ずくめでいきたい日に。
ワインも楽しんで
2人で20,000円〜。
03・6278・7759

●東京都中央区銀座2−14−8 伊藤ビル1F。18時〜最終入店21時(22時LO)。日曜・祝日・第3月曜休。交通:東京メトロ東銀座駅から徒歩5分。ガラスと白木の引き戸が入口の目印。カウンター10席。料理は、〆の食事なし7,344円と食事付き8,856円のコース2種のみ。鳥とうにの寿司と炭火焼きのほか、野菜の1品、鳥刺身、揚げ物、鳥鍋は両方のコース共通。食事なしのコースにはひとくちそうめんが付く。ワインは、ボトルで約40種を揃え、3,800円〜。鶏肉との相性を考え、白はシャルドネとアリゴテ、赤はピノ・ノワール中心にセレクトしている。グラスは日によって銘柄が異なるが白・赤各3種がスタンバイ。700円〜。

photo/
Hisashi Okamoto
text/
小石原はるか

本記事は雑誌BRUTUS782号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は782号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

No.782
辛いから。旨いから。(2014.07.15発行)

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