アラウィの「ジャークチキン」|和知 徹〈マルディ グラ〉オーナーシェフ

世界の料理は東京で食べ尽くす。辛旨好きがハマったあの一品。

No. 782(2014.07.15発行)
辛いから。旨いから。
【ジャマイカ】 ジャークチキン シーズニングに半日漬け込んだ骨付きの鶏モモ肉をグリルで焼き上げ、ぶつ切りにした〈アラウィ〉の一品。ライス、コールスローなどが付いて900円。チキンのほか、ポークやエビなどのメニューも。

ディープに焼いた鶏肉の爽快な辛さが後を引きますね。

 趣向を凝らした肉料理で、多くのファンを魅了する和知徹シェフ。まだ見ぬ食材や調理法を求めて、国内外を訪ね歩く“旅する料理人”でもある。辛さへの探究心も強く、自らハバネロを栽培してタバスコを作ったことも。
 そんな強者が選んだ辛旨な一皿は、ジャマイカ名物のジャークチキン。鶏肉をジャークシーズニングと呼ばれるタレに漬け込み、直火で香ばしく焼き上げる。ジャマイカ版の焼き鳥ともいうべきポピュラーな存在だ。
 実は、かの国をまだ訪れたことがないというシェフが、ジャークチキンと出会ったのは10年ほど前のこと。
「ラム酒にはまり、それに合う辛い料理を集中的に食べていた時、人づてにこの店のことを聞いたんです」
〈アラウィ〉の一皿は、オーナー伊林利幸さんが修業したモンテゴ・ベイの名店〈ポークピット〉のスタイルがベース。スコッチボネットペッパー(ジャマイカのハバネロ)、黒コショウ、スキャリオン(同長ネギ)といった香辛料と香味野菜で作った自家製シーズニングが味の決め手となる。
「うんっ、この味! ディープに焼けた鶏肉と、抜けのいい辛味のバランスがすごくいい。太陽の日差しが強い国の料理だけに、香辛料の使い方も発散的。清涼感のある辛さなんですよね」
 味に深みと辛さをもたらす特製のホットソースをかけながら、喜色満面の様子でシェフはどんどん食べ進む。ジャークチキンに合わせるのは、ココナッツミルクのスープで炊いたライス&ビーンズ、そしてバナナチップ。さながら定食のようである。
「僕自身、肉と米を組み合わせたメニューを作ることがありますが、きっかけとなったのがこのプレートです。肉と米と豆の3つをセットにした料理は世界の多くのエリアに存在。この取り合わせは鉄板ですよね(笑)」
「そろそろジャマイカにも行きたいなぁ」とつぶやきながら、近頃はミャンマー発祥の麺料理カオソーイにはまり、食べ歩きに余念がないというシェフ。その味探しの旅はまだまだ続く。

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アラウィ
●恵比寿
東京都渋谷区恵比寿1−26−13 1F☎03・5793・5027。11時30分〜14時45分LO(土・日・祝12時〜15時15分LO)、18時〜22時15分LO(祝〜20時45分LO)。日曜夜・月曜休。ブラウンシチューセット900円もオススメ。

和知 徹

〈マルディ グラ〉オーナーシェフ
わち・とおる/1967年生まれ。〈レストランひらまつ〉、銀座〈グレープガンボ〉を経て、2002年〈マルディ グラ〉をオープン。

photo/
Norio Kidera
text/
Ai Sakamoto

本記事は雑誌BRUTUS782号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は782号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.782
辛いから。旨いから。(2014.07.15発行)

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