エンターテインメント

なるか、一念勃起、バンド・デシネ復興。

滝本誠のCAFÉ NOIR

No. 781(2014.07.01発行)
ドラマがつまらないなんていったのは誰だ!

 バンド・デシネ、このフランスの漫画ジャンルはアートのジャンルでもあって、たとえばバンド・デシネ漫画家映画監督でもあるエンキ・ビラルはルーブル美術館と組んで、『ルーブルの亡霊』展を美術館内部で展開したりするわけです。
 このところ、わが国ではちょうどバンド・デシネに多くの原作を提供してきたアレハンドロ・ホドロフスキーの来日もあって、また若手の研究家・翻訳家の俊英、原正人氏の尽力もあって、メビウスを人気の頂点とした何度目かのバンド・デシネ・ルネサンスが地味にではありますが起こりかけているようにも思えます。
 バンド・デシネにまるで詳しくはないのですが、以前に〈描かれたジャズ、描かれたノワール〉というテーマを設定、幾つかのジャンルに分け入ったことがあります。こうしたコンセプトを立てて、ジャンル横断を試みるだけで熱くなり勃起が継続します。一念(コンセプト)勃起といわれる精神現象ですね。
 以前、その〈描かれたジャズ、描かれたノワール〉探求でテーマにぴったりのバンド・デシネ・アーティストを発見しましたが、それが『バーニーとブルーノート』のルスタル(Loustal)のタッチだったわけです。彼がフィルム・ノワールの名場面を描き直した小画集が書影掲載のバンド・オリジナル『Film NOIR』(Éditions Nocturne)なのですが、どこがオリジナルかというと、ルスタルの絵を愉しみながら聴くべきCDが2枚付いていて、一枚目は映画からのオリジナル・サウンドトラック篇、ジョン・ヒューストン『マルタの鷹』に始まり、オットー・プレミンジャー『ローラ殺人事件』、ロバート・アルドリッチ『キッスで殺せ』と繋いでピエール・メルヴィル『賭博師ボブ』で終わる全25作品の音楽が〈シーン〉の台詞と共に再現されメドレー風に展開していきます。まさに〈聴くフィルム・ノワール〉なのです。もちろん、音楽場面の白眉中の白眉、『カサブランカ』の酒場のピアノ場面も収録され、イングリッド・バーグマンの声も聞こえてきます。エリオット・カーペンターのピアノも。〈バンド・デシネ・ジャズ〉はかなりの数でていて、揃えようかな、と。

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本記事は雑誌BRUTUS781号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は781号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.781
ドラマがつまらないなんていったのは誰だ!(2014.07.01発行)

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