旅と地域

新宿御苑 大温室

No. 775(2014.04.01発行)
東京で見る、買う、食べる、101のこと。
熱帯池沼の植生。植物や人工物の高低差をうまく配し、奥行きある風景が生まれる。天井パネルの開閉で室温を調整する省エネ設計も話題に。

都会のど真ん中にあるジャングルへ。新宿御苑大温室で稀少な植物を眺める。

 これほどに群生し巨大な塊となったビカクシダを初めて見た。にわかに植物に注目が集まり、雑貨屋でも多肉の小鉢が売られているのを見かけるが、やはり植物園で見る植物は全く違う。象の背ほどある葉を繁らせるバナナ、隆々と力強く枝を伸ばすリュウケツジュ、キテレツで妖艶なを咲かす稀少なランの数々。熱帯、沖縄、小笠原、乾燥地、熱帯山地など、エリアごとに変幻自在に表情を変える美しい植生を見ることができる〈新宿御苑 大温室〉。上空から見ると木の葉形をしたガラスの建物には絶滅危惧種を数多く含む500種の植物が収まる。前身は皇室の温室として各国から収集した植物や宮中晩餐に供する植物も育てていた。現在は絶滅危惧種をはじめ、稀少な植物の保全にも力を入れている。左右に曲がりくねって起伏に富んだ動線は飽きることがない。「仏教三大聖樹」(菩提樹、沙羅双樹、無憂樹)と題した解説など、各エリアに置かれた植物をより深く知るためのプレートも楽しい。都会的なエネルギーに満ち溢れた喧騒から逃れ、束の間の楽園で時間を過ごす。新宿駅から歩いてもさほどかからない場所に熱帯の湿り気を帯びた世界が待つ。

旅と地域カテゴリの記事をもっと読む

新宿御苑 大温室
新宿三丁目]

●新宿区内藤町11☎03・3350・0151。9時30分〜15時30分。月曜休(祝日の場合は翌日休)。酒類持ち込み禁止、遊具類使用禁止。2012年にリニューアル。温室設計は日本設計が担当。

photo/
Taro Hirano

本記事は雑誌BRUTUS775号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は775号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.775
東京で見る、買う、食べる、101のこと。(2014.04.01発行)

関連記事