フレッシュシーフードビストロ サル/ボガマリ クチーナ・マリナーラ

グルマン温故知新

No. 774(2014.03.15発行)
勝手に着やがれ
一本魚の無添加香熟漬けのソテー 「香熟漬け」とは、銚子の干物専門店〈越田商店〉の看板商品。40年間、塩だけを足して熟成させ続けている特製の漬け汁に漬けて天日干しした魚は、発酵を経て深さを増した旨味が特徴。この日はハナダイ。1,417円。

フレッシュシーフードビストロ サル

代々木上原

生産者に教わった「おいしい」をお皿に込めて。

 全国各地の生産者のもとを訪れて食材を学び、そこから届くものをダイレクトにメニューに反映させている、白金のビストロ〈SARU〉。その兄弟店が、代々木上原に昨秋、誕生した。
 カジュアルなビストロスタイルは“兄”と共通だが、“弟”ではシーフードが主役。前菜はごくシンプルに生で、あるいは、野菜と一緒にアレンジを加えた小皿料理を。セビーチェにはユズコショウなどの意外な調味料が使われたり、ブリがカツレツになったりと、想像を超えるアプローチが楽しい。
 そしてメインは、南部鉄器を使った蒸し料理や、干物(!)のソテーなど。「自分たちが獲った素材をどう使うの? と生産者さんも興味を持っています」
と店長の加納賢俊さん。
 店の壁には日本地図を描いたボードがあり、スタッフが訪れた生産地でのスナップ写真が貼られている。その地が増えるにつれ、メニューの内容もより多彩に、ますます面白くなりそう。

コダイとカルチョーフィのソテー この日のおすすめのコダイを、イタリア人にとっては“春を告げる野菜”、日本人にとっての山菜的存在であるカルチョーフィ=アーティチョークとソテーに。2,000円。ちなみに魚は一律700円/100g。この料理の場合は、コダイ200g 1,400円にカルチョーフィ600円が加わって、上記の価格に。明朗。

冷たい前菜の小皿 魚のショーケースの隣に、毎日10種類以上の前菜が並ぶ。中には野菜だけのものも。上から時計回りに/ヴェネチアの郷土料理「タラのマンチカート」に、「アジと赤玉ねぎのマリネ」「タコとジャガイモのサラダ」。各400円。

ブカティーニ・ア・ラ・カルボナーラ・ディ・マーレ グアンチャーレ(豚ほほ肉の塩漬け)を使わずしてどうカルボナーラを表現? と思ったら、燻製にしたホタテを中心にムール貝やアサリを使った、まさかの貝づくめ。が、驚くほど違和感なし! これは定番料理。1,800円。

ボガマリ クチーナ・マリナーラ

●千駄ケ谷

素材も調理法もご自由に、の魚イタリアン。

 店のエントランスには、まるまる一尾の干した鮭が飾られていて、ここが“魚推し”なレストランであることは、入る前から一目瞭然。どんなイタリアンレストランでも置いているであろう、生ハムやサラミの類いですら、とにかく“肉”は一切なし、という潔さだ。
 マネージャーの布上智範さんいわく「肉料理に注力しているイタリアンが多いので、ならば逆に魚介類だけの店があってもいいじゃないかと思いまして」。
 肉に加えて、メニューも(ほぼ)ない。店の入口正面、カウンターキッチンの前に設えられた、さながら魚屋さんのようなショーケースに並んだ魚介類を見ながら「これを、こんなふうに食べたい」と、相談してメニューを組み立てるのだ。例えば、写真ではコダイはソテーにしたけれど、グリルにも、アクアパッツァにもできる。
 親しんだ魚を選ぶもよし、未知の魚種にトライするもよし。さて、何をどう味わう?

肉ブームに待ったをかける⁉ 魚の逆襲。

熟成、赤身……と肉が持てはやされて久しいけれど、このあたりでそろそろ、魚に目を向けてみるのもいかがでしょう? これまでと一味違う、“魚コンシャス”なレストランが登場していますから。春の到来を海の幸で実感、もオツなもの。

本日の鮮魚と野菜、オリジナルビスク 使う素材は時期により変わるが、南部鉄器を使った蒸し料理は、定番のメイン料理。この日は、銚子で揚がる体長10㎝程度の小型のカニ「マルガニ」で作ったビスクと、貝などの具材から出た味わいが溶け合う一品に。2,100円。残ったスープは玄米(367円)を入れてリゾットにするのがおすすめだ。

蛸とセロリ、山菜のセビーチェ 千葉・大原漁港の特産である真ダコを、山菜と一緒に中南米式魚介のマリネ「セビーチェ」仕立てに。この日の山菜はウルイ、菜の花、ヤマウド。味の秘密は、ユズコショウとナンプラーという異色のタッグ。945円。

フレッシュシーフードビストロ サル
代々木上原
魚を食べたいけど野菜も
しっかりがいい、な時に。
ワインも楽しんで
2人で10,000円〜。
03・6804・9825

●東京都渋谷区元代々木町10−8。12時〜14時30分LO(土・日・祝〜16時LO)、18時〜22時30分LO(土・日・祝17時〜)。不定休。交通:小田急、東京メトロ代々木上原駅東口から徒歩5分。カード使用可。カウンター6席、テーブル17席。2013年10月オープン。メニューは入荷状況によって変わる。小皿料理は800円〜。白金の店で人気の野菜の前菜メニューもある。シーフードが主体の料理に合わせて、ワインは海沿いのエリアで造られたものを中心にセレクト。グラスワインは、約20種類あり、609円〜。カトラリーにはお箸も用意されていて「小さい骨を取るならやっぱりお箸が便利!」と実感する。

ボガマリ クチーナ・マリナーラ
●千駄ケ谷
とにかく魚! 絶対に魚!
な気分の時に。
たらふく食べて飲んで、
2人で13,000円〜。
03・6721・1858

●東京都渋谷区千駄ヶ谷4−7−5。11時30分〜14時LO、18時〜22時LO。日曜休。交通:東京メトロ北参道駅から徒歩1分、JR千駄ケ谷駅から徒歩6分。カード使用可。テーブル33席、カウンター3席。2013年11月オープン。魚介類は、九州の漁港を中心に、各地から日々届く。写真のカルボナーラのほか、トマトと煮込んでオーブンで焼くツナのトリッパ1,200円などの定番も。生ビール700円、ワインはグラスで600円〜。ボトルは赤・白合わせて約120種を揃える。「シーフード=白と思われがちだが、約3割は赤。赤身の魚を使った料理やトマトソースにおすすめです」と布上さん。ちなみに店名の「ボガマリ」は“ウニ”の意。

photo/
Hisashi Okamoto
text/
小石原はるか

本記事は雑誌BRUTUS774号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は774号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

No.774
勝手に着やがれ(2014.03.15発行)

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