テーマ〈続・秘密〉

平常心ブラザーズの平常心を失くす日。

No. 773(2014.03.01発行)
なにしろラジオ好きなもので②
宮沢 興味があると過去のことに遡るじゃない? 好きなミュージシャンのことを調べて、「ああ、ここに黒人音楽があったのか」って探るのが面白いと思うんだ、僕なんかは。秘密を見つけたような楽しみがあるから。でも若者たちは遡らないっていう話を聞くよね。
やつい 1曲ダウンロードするだけで、アルバムを聴くことがないですよね。
宮沢 でもそれは、アルバムの歴史が短いからっていうこともある。レコードが普及する前は、ライブだったり、楽譜を売ったりしていたわけだから。細野晴臣さんに話を聞いたときに、音楽は全部知っているつもりだったけど、レコードになっていない曲がアメリカにはまだいっぱいあると。だから映画で「これなんだろう?」っていうことがたまにあるって。メディアはどんどん変わっていくけれども、音楽はまた別に存在するわけじゃない? だから変わってしまうのはしょうがない。LPもクラシックの30分以上の曲をどう1枚のレコードに収めたらいいのかっていう歴史がある。音楽の尺だって、3分台っていうのはラジオで流すためだったりする。メディアによって決められていたこともあるんだよ。だから変わっていくのはしょうがない。コントだってさ、テレビはすごく短いじゃん。
やつい 今や1分とかですからね。
宮沢 1分か……。コントの誕生秘話ってさ、ストリップ劇場でしょ。いや、秘話でもなんでもないんだけど(笑)。幕間が10分だった。漫談や手品っていう芸は10分でできるけれど、コメディアンや役者は何もできない。だからその10分間で短い劇を作ったのが、日本におけるコントの誕生。
やつい へえ〜! そうなんすか。
宮沢 だから説明している時間がないからパッと見てわかる「刑事と泥棒」とか「医者と患者」とか。
やつい 「先生と生徒」とか。
宮沢 そうやって作られた芸能。だってコントって引き延ばせば普通の芝居になるからね。
やつい 営業に行くと、師匠たちは、“ボクシング”みたいなコントで引き延ばして30分やったりしますよね。僕らは5〜6分のネタを何本かやるんですけど、「お前らもあれをやり続けて30分できるように頑張れよ」って言われたりしますから。やらないなって思いましたけど(笑)。
宮沢 ボクシングで30分やらない。試合じゃないか(笑)。(続く)

宮沢章夫/遊園地再生事業団主宰。3月20〜30日、座・高円寺1にて『ヒネミの商人』。

やついいちろう/エレキコミック第23回発表会『RightRightRightRight』が5月21日〜。

photo/
村岡俊也
text/
村岡俊也

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No.773
なにしろラジオ好きなもので②(2014.03.01発行)

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