「まかれちまいなよ、そのながいものに」

戌井昭人『沓が行く。』

No. 772(2014.02.15発行)
日本一の「お取り寄せ」最終案内

 ロングタイムアゴー、長靴を履いた猿が、長芋を片手に、長襦袢を羽織って、町を徘徊していたそうな。猿は長唄が得意で、長雨の日なんかは、軒先で唄っていました。長い月日が経って、足腰が悪くなり、広場に捨てられた長椅子に座り、ひっそり死んでいました。手には、好物の長芋が握られていたそうです。「長芋のネバネバは身体にいいが、あれに巻かれると、全身がかぶれるので注意しろ」という事を、訴えつづけた生涯でした。

いぬい・あきと/〈鉄割アルバトロスケット〉主宰。劇作家、小説家。『すっぽん心中』(新潮社)など。4月16日〜ザ・スズナリにて鉄割公演。

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No.772
日本一の「お取り寄せ」最終案内(2014.02.15発行)

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