ホールちゃんの肉割烹/赤身『肉山』

グルマン温故知新

No. 770(2014.01.11発行)
続・尊敬できる日用品

焼かなくていい、“私、食べる人!”な焼肉と肉割烹。

思えば、普通の焼肉は調理の最終段階をお客さんが担当するわけで、いまいち上手に焼けなかったり、話に夢中で焦がしてしまったり。あるある。でも、それってもったいない! だから“肉は肉屋”。玄人(プロ)がきっちり仕上げた肉を、噛み締めよう。

すね肉の蒸し煮 白キムチ添え アキレス腱と一緒に蒸してからさらに煮たというすね肉は、旨味をしっかりたたえつつ食感は軟らか。そして「白キムチ」とは、通常のキムチを熟成させてから水洗いしたもの。熟成により酸味が加わり、とっても爽やかな味わい。すね肉でキムチを巻いて一緒に食べることを推奨。

白センマイの和え物 センマイなのに真っ白なのは、表面の黒い部分を剥いているから。約60℃のお湯につけると、剥けやすくなるのだそう。白ゴマと、千切りにしたミョウガやシソ、キュウリと一緒に、ポン酢で和えた一品。

ワタリガニ味噌スープのつけ麺 ワタリガニと香味野菜で取ったダシを、日本の味噌プラス、イワシとアサリのエキス入りの韓国味噌「チゲテンジャン」で味を調えたスープに麺をつけて、ズズーッと。“肉割烹”だけど、こんな〆が登場する日も。

ホールちゃんの肉割烹

赤坂

焼く・蒸す・煮るetc.。なんでもござれ。

「予約の分しか肉を仕入れない(=要予約)」「1日4組しか入れない(=超激戦)」なうえに、「常連さん優先」を標榜する“注
文の多い料理店”なのに超人気、な新大久保〈ホルモン船 ホール
ちゃん〉。店主・鄭寿福さんが、昨年8月に新たに開いたのが、こちら。香川県産「讃岐牛」の選りすぐりに、独自のオリーブ飼料を与えて育てた稀少な黒毛和牛「オリーブ牛」をはじめとする、鄭さんの眼鏡に叶った肉を“焼肉”にとらわれないいろいろな形で味わってもらいたいという思いから、〈肉割烹〉と名づけたそう。
 すね肉は蒸して、ハラミはさっと焼いてタタキに、カイノミのステーキには粒黒コショウを添えて……と、部位ごとの持ち味を活かしたスタイルで次々に肉が登場するめくるめくコースは、合間にカキの塩辛やらジャンボマッシュルームステーキなんかも差し挟まれ、緩急をつけた流れがお見事。手だれの肉職人の技、しかとご賞味あれ。

熊本あか牛のイチボ 赤身肉の “焼き”は、あか牛のミスジ、黒毛和牛のモモ、蝦夷豚ロース、馬ハラミetc.、部位や種類を替えて8〜10種類登場。味つけは瀬戸内の藻塩のみだから、食べ進むうちに、それぞれの肉質の特徴がはっきりとわかって面白い! タスマニア産マスタード、ヤンニョンジャン、ユズコショウもつけつつどうぞ。

熊本馬ヒレ刺し コースの最初の肉として登場するのが、こちら。艶やか、鮮やかな馬のヒレは、厚めのカットもなんのその、なもっちり軟らかな食感。濃厚な黄味醤油にくぐらせて食べれば、のっけから食欲フルスロットル。

シチューごはん 〆は2種から選択。シチューごはんは、牛を中心に豚や馬の切り落としを、香味野菜とじっくり煮込んだシチューを白いごはんにたっぷりかけて。もう一つのチョイスは、ゴマ油の香ばしい香りにやられる卵かけごはん!

赤身『肉山』

吉祥寺

いざ食らわん! 紅の美味なる頂を。

 白木のネタ箱にぎっしり詰まっているのは、ルビーかはたまたレッドエメラルドか。店主の光山英明さんは、これらの塊の赤身肉を、1年前から毎日10㎏以上焼いている。かつては、甲子園球児として活躍した光山さんが「野球をやっていた頃は痛めたことのなかった肘が、最近ちょっと痛いんですわ〜」というのだから、どれだけ流行ってるんですか⁉ という話である。それもそのはず、5,000円ぽっきりで見事な焼き加減の極上赤身肉をたらふく食べられるのだから。ちなみに1人前350g超。
 同じ吉祥寺で営むホルモン焼き店〈わ〉が10周年を迎えた一昨年11月、「今までにない切り口の新たな店を」という志のもと、打ち出したテーマが「塊で焼いた赤身肉」。かくして、しっとり滲み出る肉汁やトング越しに伝わる弾力を手がかりに、肉を焼く日々に。時間をかけて、優しく「肉に“気づかれないように”焼く」が身上。大胆にして細心な仕事に感嘆必至だ。

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ホールちゃんの肉割烹
赤坂
肉好きのお得意様の接待で、
うならせたい時にも。
2人で20,000円〜。
03・3586・0551

●東京都港区赤坂3−6−13 赤坂MTビルNo.2 1F。17時30分〜22時LO。不定休。交通:東京メトロ赤坂駅2番出口から徒歩5分。カード使用可。料理長の金栄柏さんが腕を振るう。メニューは8,500円のおまかせコースが中心だが単品オーダーも可能。また冬場はホルモン鍋や海鮮鍋(これがまたどちらもイケる!)などを組み込むこともできるので、食べたいときは予約時に相談を。ドリンクは、生ビール650円、サワー・白州ハイボール各650円、グラスワイン700円など。アルミ製の小さなヤカンで出てくる生マッコリ2,400円は、グビグビ飲めてしまうので飲みすぎ危険だけれど、フレッシュな口あたりで非常におすすめ。

赤身『肉山』
吉祥寺

肉を主役に集い、ひたすら
食べ、飲みたい時に。
2人で最高20,000円。
0422・27・1635

●東京都武蔵野市吉祥寺北町1−1−20 藤野ハウス2F。17時〜23時*状況次第で変更あり(金・土・日は12時スタートのみ受け付け)。無休。交通:JR・井の頭線吉祥寺駅から徒歩10分。カード使用不可。メニューは5,000円のおまかせコースのみ。飲み放題はプラス5,000円。単品の場合はビール600円、白州12年800円、焼酎500円など。ちなみに、12月中旬の時点ですでに、夜の営業は3月末まで満席! 人数によっては平日の昼に入れる場合もあるので、詳しくは問い合わせを。あと、光山さんからの切なるお願いは、「時間厳守で!」。予約時間から逆算して肉を焼いているので、遅れると食べ時を逃します。

photo/
Hisashi Okamoto
text/
小石原はるか

本記事は雑誌BRUTUS770号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は770号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

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続・尊敬できる日用品(2014.01.11発行)

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