テーマ〈オリンピック〉

平常心ブラザーズの平常心を失くす日。

No. 768(2013.12.02発行)
木の家
やついいちろう 芸人たちが仕事にありつこうとやんややんや始まってますよ。
宮沢章夫 その人たちに言いたい。絶対にダメだと。エネルギーをかすめ取られるだけだから。
やつい ミュージシャンまで“浮かれ”が始まってますからね。競技のテーマ曲を作ろうみたいに。
宮沢 そうか、乗ろう! ニッチなところを狙おう。乗馬はどうだ。
やつい 実は、うちのマネージャーがやってるんですよ。
宮沢 一つ言っておくけど、ふざけるな(笑)。
やつい 馬に蹴られりゃいいんだ。
宮沢 ウチの父親が死んだときに、香典返しをするじゃない? 最近はカタログで選べるようになってるんだけど、その中に一回乗馬券っていうのがあった(笑)。でも、乗馬ってうまくなってどうすんの?
やつい 高いところから見下すのが気持ちいいのかな?
宮沢 もっと高いところに上ってやれよ、ラクダとかさ。
やつい そもそももっと高いところに住んでるし。
宮沢 馬が高いと思ったら大間違い(笑)。でも最近、馬の映画ばかり観ているよ。馬はあるけど牛の映画はない。結局、西部劇からカーチェイスに繋がっているわけですよ。省略が劇的を生むじゃない? 出会った男女が夜を省略して朝になっていると、すると何があったんだろうとかね。カーチェイスで省略されているのは、給油。一度給油シーンと並べて観たことがあるんだけど、本当につまらない(笑)。
やつい 馬も草を食わせなきゃいけないですからね(笑)。
宮沢 延々、馬が草を食べているのを見せられても(笑)。でも、『ニーチェの馬』はそういう映画だった。荒涼とした土地に父親と娘2人暮らしで、毎日2つイモをゆでて手づかみで食べるんだよ。でも、必ず半分残す。1個にして半分ずつ食えよって(笑)。井戸が涸れてもう住んでいられないって丘を越えていくんだけど、ずっと丘が映されて、しばらく何も起こらない。そうしたら戻ってくるっていう(笑)。
やつい 帰ってきちゃったんすか。
宮沢 ベケットの『エンドゲーム』
の、核戦争があったらしいっていう世界を思わせる。その向こうが何もなかったんだっていう想像しかできないんだ。何も説明してくれないから。(続く)

宮沢章夫/遊園地再生事業団主宰。F/T作品『光のない。〈プロローグ?〉』は12月8日まで。

やついいちろう/エレキコミック。エレ片コントライブ『コントの人8』が来年1月30日から。

photo/
米谷 享
text/
村岡俊也

本記事は雑誌BRUTUS768号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は768号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.768
木の家(2013.12.02発行)

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