映画

『エイリアン』や『ブレードランナー』に比肩するSF映画の金字塔、公開。

BRUTUSCOPE

No. 768(2013.12.02発行)
木の家
主人公を演じたサンドラ・ブロックにはアカデミー賞有力の呼び声も。©2013 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
監督は『トゥモロー・ワールド』のアルフォンソ・キュアロン。圧巻 ©2013 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

宇宙空間をさまよう乗務員たちの生存劇『ゼロ・グラビティ』は、なぜこれほどの称賛を集めるのか?

 "映画史に残る傑作"とか、"『エイリアン』や『ブレードランナー』に比肩するSF映画"とか、"『アバター』後の最も重要な3D作品"とか、どれだけ絶賛してもし足りないのが『ゼロ・グラビティ』だ。
 船外活動中にスペースシャトルが大破し、アウタースペースに取り残された乗組員2人のサバイバル劇。尺は91分、登場人物は2人(もっと言うと実はほとんど1人)と骨格は簡素ながら、圧倒的な観応えがあるのは、まず土台となる脚本が"危機に立ち向かう主人公の成長物語"としてよく練り込まれているからだ。
 そして、シンプルな骨組みを覆う、かつて観たことのないような革新的映像の数々。カメラは飛行士と共に無重力空間を漂い、これまでではあり得なかった動きやスピードで宇宙の様子をありありと捉える。するとVFXを駆使したバーチャルな映像を観ているというより、実際に宇宙空間で起きた出来事を目の当たりにしているような、異様な生々しさと緊迫感が生まれるのだ。とりわけ最高水準の映像と音に陶酔できるIMAX版の臨場感や興奮ときたら。
 生命の尊厳を謳う上質なドラマと、そんな体感型アトラクション的快楽の融合。いやはや、とんでもない映画を作り上げたもんだ、アルフォンソ・キュアロンは。

『ゼロ・グラビティ』

監督:アルフォンソ・キュアロン/出演:サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニー/事故によって宇宙空間に放り出されたエンジニアのストーン博士と宇宙飛行士コワルスキー。通信手段は途絶え、酸素も残りわずかとなる中、彼らは絶望的状況をいかに切り抜けるのか? 12月13日、全国3D/2D同時公開。

text/
Yusuke Monma

本記事は雑誌BRUTUS768号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は768号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

No.768
木の家(2013.12.02発行)

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