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天井から音が降り注ぐ!? 迫力の映画観賞を初体験。

BRUTUS.jpオリジナル記事

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桜の開花前線が東京に到着した3月末、六本木のイベントスペースで2日間にわたり『パナソニック AIR PANEL LED THE SOUND Presents 「BRUTUS座 feat.キノ・イグルー」vol.3』が開催された。「AIR PANEL LED THE SOUND」とは、パナソニックのスピーカー搭載LEDシーリングライトのこと。これを使って“移動映画館”ことキノ・イグルーがセレクトした映画を観るというのが、本イベントの趣旨である。

お昼過ぎに開場すると、集まったのは“花より映画”な読者たち。会場で振る舞われたお寿司やサンドイッチを口にしながら過ごしていると、キノ・イグルーの有坂塁さんと渡辺順也さんが登場した。今回はメインとなる『パンダコパンダ』の上映に加え、3本の短編アニメも参考上映するという。

『パンダコパンダ』は、小学生の少女ミミ子と動物園を逃げ出してきたパンダの親子(言葉が話せる)の共同生活を描いた33分のアニメ映画。演出は高畑勲、脚本などは宮崎駿と、のちにスタジオジブリを立ち上げる2人が担当している。公開された1972年は、中国から上野動物園にジャイアントパンダが贈られ、空前のパンダブームが起こっていた。それを受けて企画されたというから、ほんの数ヵ月で作られたことになる。その後の高畑勲や宮崎駿を思うと驚くべき速さではないか。「今じゃ考えられないくらいのどかな作品です」と有坂さんが告げると、『パンダコパンダ』がスクリーンに映し出された。

「パンダパパンダコパンダ〜♪」。水森亜土が歌うオープニングソング「ミミちゃんとパンダ・コパンダ」で幕を開ける。耳馴染んだこの歌も、「AIR PANEL LED THE SOUND」を通して天井から降り注いでくるとまた違った味わいだ。その後、有坂さんの予告どおり“のどか”な物語が展開して映画は終了。最新の機材で昭和のアニメを観るというのはどうしてなかなか贅沢だ。ミミ子が口癖のように「素敵ね」と言っていたことに気づけたのも、「AIR PANEL LED THE SOUND」のおかげかもしれない。『パンダコパンダ』はモノラル作品だが、これで音響的にこだわったステレオの作品を観たら面白そうだ(例えば、ゴダールの音質の良い作品とか)。

続けて、スウェーデンのデザイナー、オーレ・エクセルのイラストを使ったアニメ短編集『Olle Eksell in Motion』より1作、メディアクリエーターの佐藤雅彦による短編映像集『kino』より“点”のみを用いたアニメ作品、そして、フレンチエレクトロユニット、Justiceによる実写とアニメが混ざった「D.A.N.C.E.」のミュージックビデオが参考上映された。キノ・イグルーらしい斜め上を行くチョイスだったが、彼らならではのアニメ観が垣間見られて興味深かった。特に有坂さんが「D.A.N.C.E.」を「最先端のアニメ表現」と絶賛していたのが記憶に残った。

そうこうしているうちに、イベントはお開き。帰り際には、BRUTUSのオリジナルTシャツと、“B”ロゴが入った<木挽町よしや>の特注どら焼きなどがお土産として配られた。アニメの余韻に浸りたかったので、帰りは六本木の桜坂に行ってみた。どら焼きを頬張りながら見た黄昏どきの桜並木はミミコっぽく言うなら「素敵ね」だった。

text/
Keisuke Kagiwada
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